サイクルタイムは、運搬距離と運搬状況の係数、積込み等の時間から求めます。
車種・土質・運搬距離から、1時間の運搬土量と台数
サイクルタイムの式
Cm はサイクルタイム(分)で、小数点以下を四捨五入します。β は運搬状況による係数、L は運搬距離(km)、α は積込み等その他の作業時間(分)です。運搬距離は片道で、往路と復路が異なる場合は平均値とします。L が km、Cm が分なので、β は 1 km 当たりの分で、運搬距離に比例して延びる部分を表します。
例えば10t車をバックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³)で積み込み、「DID区間率30%未満か夜間」の運搬(β 4.8)で片道 5 km運ぶなら、Cm = 4.8 × 5 + 15 = 39 分です。運搬距離が 1 km 延びるごとに、Cm は 4.8 分長くなります。
運搬状況による係数 β
| 区分 | DID率 | β |
|---|---|---|
| DID区間率が30%以上の地区を昼間運搬する場合 | DID区間率70%以上 | 5.8 |
| DID区間率が30%以上の地区を昼間運搬する場合 | DID区間率70%未満30%以上 | 5.3 |
| 上記以外の運搬の場合 | - | 4.8 |
| 河床路 | - | 7.9 |
DID区間率は、DID区間 ÷ 運搬距離 × 100(%)です。DID区間は運搬経路のうち DID地区に係る区間で、DID地区(人口集中地区)は総務省統計局の国勢調査で設定された地区です。区域は DID地区境界図で確かめます。
例えば運搬距離 8 kmのうち DID地区を通る区間が 3 kmなら、DID区間率は 3 ÷ 8 × 100 = 37.5% で、昼間に運搬するなら β は 5.3 です。夜間の運搬や、DID区間率が30%未満の経路は「上記以外の運搬の場合」の 4.8 です。自動車専用道路を利用する場合は、この表とは別に考えます。
積込み等その他の作業時間 α
α は、積込み・待ち・排土・シート掛け等の時間です。標準歩掛の表は、積込機械と車種ごとの積込時間に、その他時間 8 分を加えた値を α としています。表の数は α(分)です。
| 積込機械 | 10t車 | 8t車 | 6t車 | 4t車 | 2t車 |
|---|---|---|---|---|---|
| バックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³) | 15 | 14 | 12 | 11 | 9 |
| バックホウ 山積0.45m³(平積0.35m³) | 21 | 18 | 16 | 13 | 11 |
| バックホウ 山積0.28m³(平積0.2m³) | 30 | 25 | 21 | 17 | 12 |
| クラムシェル 平積0.6m³ | 22 | 19 | 16 | 14 | 11 |
| ベルトコンベア | 33 | 28 | 23 | 18 | 13 |
| 人力 | 68 | 53 | 43 | 33 | 18 |
10t車の積込時間は、バックホウ 山積0.8m³ 7 分・バックホウ 山積0.45m³ 13 分・バックホウ 山積0.28m³ 22 分・クラムシェル 平積0.6m³ 14 分・ベルトコンベア 25 分・人力 60 分です。バックホウはクローラ型・排出ガス対策型で、山積0.8m³と0.45m³は第3次基準値、0.28m³は第2次基準値の機械です。
運搬距離とサイクルタイムの例
10t車をバックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³)(α 15 分)で積み込む場合の Cm です。β 4.8 は「DID区間率30%未満か夜間」の運搬、β 5.8 は DID区間率70%以上の地区を昼間に運搬する場合です。
| 運搬距離 L(km) | β 4.8 の Cm(分) | β 5.8 の Cm(分) |
|---|---|---|
| 1 | 20 | 21 |
| 2 | 25 | 27 |
| 3 | 29 | 32 |
| 5 | 39 | 44 |
| 8 | 53 | 61 |
| 10 | 63 | 73 |
式が当てはまらないとき(試走して測る)
標準歩掛は、地域の状況により著しく交通渋滞がある場合や交通規則等がある場合など、この式を当てはめにくいときは、実情に応じて別途積算することができるとしています。河川土工マニュアルも、運搬往復の所要時間は、運搬予定路を実際に運搬作業を行う時間帯と作業状態で試走して決めるのがよいとしています。荷卸しの時間は荷卸し場の広さや整地の程度で、積込み場所に着いてから積込みが始まるまでの時間は方向転換や位置決めの段取りで変わります。
試走して測ったサイクルタイムがあるときは、計算の画面の「サイクルタイムの求め方」で「直接入力」を選び、1往復の分を入力してください。例えば10t車・硬岩で 30 分なら、Vt は 6.8 m³/hです。
ほかの基準のサイクルタイム
サイクルタイムを βL + α で表す形は同じでも、係数の値は基準ごとに違います。農林水産省のダム工事積算指針は、主として専用道路を走行する場合に 10t以下で Cm = 3.6 × L + α、20t以上で 4.5 × L + α、主として一般道を走行する場合に 4.6 × L + α とし、α は 15 分を標準としています(L は小数点2位以下を四捨五入して1位止まり。原則として、専用道路の式は片道 8 km 以内、一般道の式は片道 9 km 以内に適用)。
河川土工マニュアルは、β を DID区間率で 5.6・5.1・4.6、α をバックホウ(0.6m³級)で 18 分(11t積車の係数)としています。この計算の β と α は標準歩掛の値です。ほかの基準で計算するときは、その式で求めたサイクルタイムを「直接入力」で入力してください。
出典
車種・土質・運搬距離から、1時間の運搬土量と台数