1台の運搬土量は、サイクルタイム・積載土量・作業効率から求めます。
車種・土質・運搬距離から、1時間の運搬土量と台数
時間当たり運搬土量の式
標準歩掛(第1編 共通工 第2 運搬工 2-7 ダンプトラック運搬)は、時間当たり運搬土量(地山土量)を次の式で求めるとしています。
- Vt: 1時間当たり運搬量(m³/h)。地山の土量です。
- Cm: 1サイクルの所要時間(分)。サイクルタイムです。
- q: 1台当たり積載土量(m³)。W はダンプトラックの許容積載質量(t)、w は地山の単位体積質量(t/m³)です。標準歩掛は、q の値を車種と土質の表で与えています。
- E: 作業効率。標準歩掛は E = 0.9 とし、現場条件による補正はサイクルタイムで行うとしています。
- β・L・α: 運搬状況による係数・運搬距離(km・片道)・積込み等その他の作業時間(分)。サイクルタイムの話題で詳しく説明します。
60 ÷ Cm は、1時間のサイクルの数です。Cm が 39 分なら 60 ÷ 39 ≒ 1.54 回で、これに1回に運ぶ土量 q と作業効率 E を掛けます。
計算の例
10t車・粘性土・砂・砂質土・礫質土・片道 5 km・DID区間率30%未満か夜間・バックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³)の場合です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 積載土量 q(10t車・粘性土・砂・砂質土・礫質土) | 5.3 m³ |
| α(バックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³)・10t車=積込時間 7 + その他時間 8) | 15 分 |
| サイクルタイム Cm(4.8 × 5 + 15) | 39 分 |
| 1台の運搬土量 Vt(60 ÷ 39 × 5.3 × 0.9 ≒ 7.338) | 7.3 m³/h |
4t車で軟岩を運ぶときは、q が 1.8 m³、DID区間率70%以上・昼間の β が 5.8、バックホウ 山積0.45m³(平積0.35m³)の α が 13 分です。片道 2 kmなら Cm = 5.8 × 2 + 13 = 24.6 → 25 分、Vt = 60 ÷ 25 × 1.8 × 0.9 = 3.888 → 3.9 m³/hです。
計算結果は小数第1位に四捨五入して表示します。関東森林管理局の治山事業歩掛は、同じ形の式(Q = 60・q・E ÷ cm)で求めるトラックミキサーの距離別運搬作業量を、サイクルタイムは整数、運搬量は小数第1位で並べています。この計算も同じ桁にそろえています。
運搬距離と運搬土量の例
粘性土・砂・砂質土・礫質土をバックホウ 山積0.8m³(平積0.6m³)で積み込む場合です(作業効率 0.9)。運搬距離が長くなるほどサイクルタイムが延び、1台が1時間に運べる土量は減ります。
| 運搬距離 L(km) | 10t車 Cm(分) | 10t車 Vt(m³/h) | 4t車 Cm(分) | 4t車 Vt(m³/h) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 20 | 14.3 | 16 | 7.4 |
| 2 | 25 | 11.4 | 21 | 5.7 |
| 3 | 29 | 9.9 | 25 | 4.8 |
| 5 | 39 | 7.3 | 35 | 3.4 |
| 8 | 53 | 5.4 | 49 | 2.4 |
| 10 | 63 | 4.5 | 59 | 2.0 |
運搬状況はどれもDID区間率30%未満か夜間(β 4.8)、α は10t車 15 分・4t車 11 分です。
ほかの基準の式との関係
農林水産省の「ダム工事積算指針」は、ダンプトラック運搬の時間当たり作業量を Q = 60 × q × f × E ÷ Cm としています。f は土量変化率で、地山の土量で求めるときは 1 です。作業効率は 0.9 を標準とし、q は公称積載量を土の単位体積重量(自然状態)で割り、有効数字の第3位を切り捨てて2桁にするとしています。
国土技術研究センターの「河川土工マニュアル」も、運転1時間当たりの運搬土量を Q = 60・c・f・E ÷ Cm(c は1回の積載土量)で表し、サイクルタイムを実状に合ったもので決められれば、作業効率は一般に 0.9 程度と考えてよいとしています。徳島県海陽町の単価表の様式も Vt = 60/Cm × q × E です。
式の形はどれも同じで、違うのは積載土量の丸め方と、サイクルタイムを求める係数(β・α)の値です。この計算の q・β・α は標準歩掛の表の値です。
作業効率 E を変えるとき
標準歩掛は「E=0.9 とし、現場条件による補正はサイクルタイム(Cm)で行う」としています。道路が混む・荷卸し場が狭いといった現場の条件は、E を下げるのではなくサイクルタイムを長くして表します。ほかの基準の値で計算するときだけ、「詳しい設定」で作業効率を入力してください(0 より大きく 1 以下)。上の10t車の例で E を 0.8 にすると、Vt は 6.5 m³/hです。
出典
- 林野庁「森林整備保全事業標準歩掛(参考資料)」第1編 共通工 第2 運搬工 2-7 ダンプトラック運搬(p.80〜81)
- 林野庁「森林整備保全事業標準歩掛の留意事項」(森林整備保全事業標準歩掛の制定について・最終改正 令和7年3月31日付け6林整計第670号)
- 農林水産省 農村振興局 整備部「ダム工事積算指針」令和8年度(令和8年3月27日 一部改正)第2章 ②-1 (3) ダンプトラック運搬(p.23〜24)
- 財団法人 国土技術研究センター「河川土工マニュアル」(平成21年4月)第4章 4.2.5 建設機械の組合せ・4.2.6 (4) ダンプトラックの作業能力(p.166・p.182〜185)
- 徳島県 海陽町「単価表」ダンプトラック運搬土量(Vt=60/Cm×q×E・Cm=βL+α)
車種・土質・運搬距離から、1時間の運搬土量と台数