風量と単位摩擦損失から、丸ダクト(スパイラルダクト)の径を出します。径からは、その径に通せる風量を出します。通せる風量には「単位摩擦損失」と「風速」の2つの上限があり、今どちらが決めているかを書きます。周囲の温度・湿度とダクト内の空気の温度を入れれば、結露するかと、何mm巻けばよいかも出します。表は使わず、Colebrook-White の式を毎回解いています。
丸ダクトの径と通せる風量
参考値(実務の慣用値): 住宅の低圧ダクトで 0.8〜1.0 Pa/m 前後(0.10 in.wg/100ft ≒ 0.82 Pa/m)。
角・扁平長円・フレキは iPhone アプリの Pro です。丸ダクトはこのページで計算できます。
使い方
- 「求めるもの」で「風量から径」か「径から通せる風量」を選びます。
- 風量(m³/h)と単位摩擦損失(Pa/m)を入力します。径から出すときは、風量の代わりに規格径を選びます。
- 管材(粗度 ε)と風速の上限(用途)を選びます。標高の高い現場では標高も入力します。
- 答えのすぐ下に、使った式・粗度 ε・レイノルズ数・摩擦係数・丸めの向きが出ます。お手元の表と数が合わないときは、ここを1つずつ比べてください。
- 結露は、下の「結露と保温の厚み」に周囲の温度・湿度とダクト内の空気の温度を入力します。
通せる風量は2つの上限で決まります
同じ径でも、単位摩擦損失(Pa/m)で決まる風量と、風速(m/s)で決まる風量は別の数です。小さい径では単位摩擦損失が先に効き、大きい径では風速が先に効きます。片方だけを見ると、もう一方を越えているのに気づけません。この計算は両方を出し、小さい方を「通せる風量」として採ります。
例: φ300 のスパイラルダクト・単位摩擦損失 1.0 Pa/m・住宅の主管 4.0 m/s なら、単位摩擦損失で 1,258 m³/h、風速で 1,017 m³/h。小さい方の 1,017 m³/h が通せる風量で、風速の上限で決まっています。
どちらの数も切り捨てて書きます(通せない量を「通せる」と言わない側)。風量から径を出したとき、入力した風量が「通せる風量」より大きければ、その径では風速の上限が先に効いています。「径から通せる風量」で1段ずつ太い径を確かめてください。
選定の例(風量から径)
スパイラルダクト(ε 0.15 mm)・単位摩擦損失 1.0 Pa/m・住宅の主管 4.0 m/s・海面の場合です。選定表を写したものではなく、上の計算と同じ式でこのページを作るときに出した数です。条件を変えると径も変わるので、お手元の条件で計算してください。
| 風量(m³/h) | 必要径(mm) | 規格径 | 風速(m/s) | 単位摩擦損失(Pa/m) | 通せる風量(m³/h) | 決めている側 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100 | 116.5 | φ125 | 2.26 | 0.708 | 120 | 単位摩擦損失 |
| 200 | 150.7 | φ175 | 2.31 | 0.481 | 298 | 単位摩擦損失 |
| 300 | 175.3 | φ200 | 2.65 | 0.523 | 426 | 単位摩擦損失 |
| 500 | 212.2 | φ225 | 3.49 | 0.749 | 572 | 風速 |
| 800 | 253.1 | φ275 | 3.74 | 0.663 | 855 | 風速 |
| 1,000 | 275.2 | φ300 | 3.93 | 0.652 | 1,017 | 風速 |
径ごとの通せる風量の例
同じ条件(スパイラル・1.0 Pa/m・住宅の主管 4.0 m/s)で、規格径ごとに通せる風量です。φ200 までは単位摩擦損失が、φ250 からは風速が決めています。
| 径 | 単位摩擦損失で(m³/h) | 風速で(m³/h) | 通せる風量(m³/h) | 決めている側 |
|---|---|---|---|---|
| φ100 | 66 | 113 | 66 | 単位摩擦損失 |
| φ125 | 120 | 176 | 120 | 単位摩擦損失 |
| φ150 | 197 | 254 | 197 | 単位摩擦損失 |
| φ200 | 426 | 452 | 426 | 単位摩擦損失 |
| φ250 | 774 | 706 | 706 | 風速 |
| φ300 | 1,258 | 1,017 | 1,017 | 風速 |
ダクトの径の出し方(等摩擦法)
狙った単位摩擦損失になる径を解き、規格径に切り上げます。単位摩擦損失は Darcy-Weisbach の式、摩擦係数 f は Colebrook-White の式を反復で直接解いた値です(近似式や線図は使いません)。
D は径(m)、v は風速(m/s)、ε は管の内面の粗度、μ は空気の粘性(1.825×10⁻⁵ Pa·s・20℃の値)です。径も、径から通せる風量も、二分法でこの式を逆に解いて出します。
例: 風量 1,000 m³/h・単位摩擦損失 1.0 Pa/m・スパイラル(ε 0.15 mm)なら、必要径 275.2 mm を規格径 φ300 に切り上げます。φ300 での風速は 3.93 m/s、単位摩擦損失は 0.652 Pa/m(Re 77,787・f 0.0210)です。切り捨てて細い径にすると、単位摩擦損失が狙いを超えます(ファンが足りない側)。
管材ごとの粗度 ε(ASHRAE Fundamentals Ch.21 の粗さの分類): スパイラル 0.15mm・はぜ継ぎ 0.09mm・平滑管 0.03mm・内貼り 0.90mm・フレキ 3.00mm。ε を取り違えると、同じ径でも通せる風量が大きく変わります。
規格径(丸ダクトのサイズの刻み)
必要径は 100〜1,200 mm を 25 mm 刻みにした段(φ100・φ125・φ150…)へ、必ず太い側に切り上げます。これは一般的な在庫の刻みを参考値として持っているもので、規格票の表を写したものではありません。実際に手に入る径はメーカーや地域で違うので、カタログで確かめてください。
必要径が φ1,200 を超えるときは、φ1,200 に丸めずに「規格径では作れません」と出し、必要な径を書きます。
サイズの変換(風量と径・角ダクトと丸ダクト)
風量から径も、径から通せる風量も、上の計算で出せます(「求めるもの」を切り替えます)。
角ダクトを丸ダクトに読み替えるときは、断面積が同じ円ではなく、同じ単位摩擦損失で同じ風量を流す丸ダクトの径(等価直径。相当直径とも言います)を使います。
断面積で読み替えると径を大きく見積もり、摩擦を小さく見る(危険側の)答えになります。角ダクト・扁平長円の計算は iPhone アプリの Pro です(下の「iPhone では」)。
結露と保温の厚み
外装 アルミ箔 5.0 W/m²K
露点の余裕 +1K を見ています
どちらも保温が厚くなる側の既定です。外装と露点の余裕は、iPhone アプリの Pro で変えられます。判定と保温厚は、このページで出ます。
結露するかと、何mm巻けばよいか
周囲の空気の露点と、ダクトの外の面の温度を比べます。外の面が露点より低ければ結露します。保温を巻くと外の面の温度が上がるので、外の面が「露点 + 1K」になる厚さを解き、既製厚さ(10・15・20・25・32・40・50・65・75・100 mm)に切り上げて答えます。
t_a は周囲の温度、t_i はダクト内の空気の温度です。平板近似(熱抵抗の直列)で、丸ダクトの曲がりは見ていません(平板近似は厚い側に出ます)。露点は Hyland-Wexler の飽和水蒸気圧の式を逆に解いて出します(氷点下で露点を低く見る近似式は使いません)。
例(外装アルミ箔・露点の余裕 +1K・海面):
| 周囲の温度・湿度/ダクト内の空気 | 答え | 計算した厚さ | 無保温の外の面 | 露点 |
|---|---|---|---|---|
| 30℃・85%/14℃(梅雨) | 保温 65 mm | 60.4 mm | 18.0℃ | 27.2℃ |
| 32℃・70%/16℃(夏の天井内) | 保温 15 mm | 14.1 mm | 20.0℃ | 25.8℃ |
| 30℃・75%/15℃(厨房) | 保温 20 mm | 20.0 mm | 18.8℃ | 25.1℃ |
| 30℃・50%/20℃ | 結露しません | — | 22.5℃ | 18.4℃ |
| 30℃・95%/14℃ | この条件は保温では防げません | — | 18.0℃ | 29.1℃ |
「この条件は保温では防げません」と出るのは2つの場合です。①露点(余裕こみ)が周囲の空気の温度に届いている=どれだけ巻いても外の面は露点より上がりません。②計算では出るが既製厚さ(100 mm)を超える=100 mm に丸めて「大丈夫」とは書きません。どちらも、除湿するか、周囲の空気を入れ替える側の話になります。
外装と露点の余裕(既定は厚い側)
保温厚をいちばん動かすのは、外の面から空気へ熱が伝わる速さ(外表面の熱伝達率 h_o)です。アルミ箔で仕上げた面(5.0 W/m²K)は、外装なしの静止空気(9.3 W/m²K)より熱が伝わりにくいので、同じ条件でも厚く巻く必要があります。梅雨の例(30℃・85%/14℃・余裕なし)では、アルミ箔で 40 mm、外装なしで 20 mm です(余裕 +1K を含むこのページの既定では 65 mm)。
露点の余裕 +1K は、現場の温湿度計のずれ(±5%RH 相当)を厚い側に見るためのものです。このページは外装アルミ箔・余裕 +1K の既定(どちらも厚い側)で計算します。
周囲の空気の状態(露点・湿球温度・絶対湿度)
結露の計算に入力した周囲の空気から、露点温度・湿球温度・絶対湿度・比エンタルピー・比容積も出します。湿球温度・絶対湿度・比エンタルピー・比容積は大気圧で変わるので、標高を入れるとその大気圧で計算します(露点と保温厚は大気圧に依りません)。
例: 30℃・85%(海面)なら、露点温度 27.20 ℃・湿球温度 27.85 ℃・絶対湿度 W 22.97 g/kg(DA)・比エンタルピー h 88.91 kJ/kg(DA)・比容積 v 0.8905 m³/kg(DA)。
前提と、含まないもの
- 直管の摩擦だけを計算します。局部抵抗(エルボ・分岐・ダンパ)、送風機の特性、消音、防火区画は含みません。
- 空気は 20℃ の乾き空気として密度と粘性を出します。標高を入れると大気圧だけが変わります。
- 風速の上限は実務の慣用値(参考値)です。この風速域(商業の主管・高速)では、大きい径ほど風切り音が出やすくなります。
- 参考値です。最終判断は設計図書と有資格者によります。
iPhone では
iPhone アプリ「かんたんダクト」は、このページの計算を電波の無い現場でも使えます。Pro(買い切り)では、次のことができます。
- 角ダクト・扁平長円・フレキを実数の寸法で(短辺を決めて長辺を出し、作れないときは作れる組を出します)
- 給気と還気の単位摩擦損失を2本同時に固定する
- 結露の外装(表面の熱伝達率)と露点の余裕を変える
- 還気と外気を混ぜた状態、使える顕熱比の範囲、装置露点温度、バイパスファクター、冷却能力
単位はメートル法と、ヤード・ポンド法(CFM・in.wg/100ft・in・°F)を切り替えられます。
App Store で見る出典
- ASHRAE Handbook — Fundamentals(Ch.1 湿り空気と標準大気・Ch.21 ダクトの設計と管の粗度の分類・Ch.23/Ch.26 外表面の熱伝達率の帯)
- Colebrook-White の式(摩擦係数)
- Hyland-Wexler の飽和水蒸気圧の式
- 風速の上限: 実務の慣用値(居室の分岐 2.5・主管 4.0・商業の主管 7.5 m/s)
- 規格径と既製厚さ: 一般的な在庫の刻み(参考値)
規格・便覧の表と条文は載せていません。式と、出典の名前と分類だけを引いています。