法勾配を付けた溝の土量は、台形の断面積に長さを掛けて出します。
台形の断面積
法勾配を付けて掘る溝は、断面が上の広い台形になります。底幅を b、深さを h、法勾配を 1:n とすると、上幅と断面積は次の式で出ます(両側とも同じ法勾配のとき)。
四角(直)に掘るときは n = 0 で、断面積は b × h です。
法勾配の読み方
1:n は、深さ 1 に対して横へ n 広がる勾配です。1:0.5 なら深さ 2.0 m で片側に 1.0 m 広がり、上幅は底幅より 2.0 m 広くなります。法勾配は「割」でも言い、1:1.0 が1割、1:1.2 が1割2分です(数量算出要領も「勾配1割未満」「1割2分」と書きます)。この言い方では 1:0.5 が5分、1:1.5 が1割5分です。
床掘り勾配(数量算出要領)
国土交通省の土木工事数量算出要領は、オープン掘削の床掘り勾配を、土質と掘削面の高さで次のように決めています。
| 土質区分 | 掘削面の高さ | 床掘り勾配 | 小段の幅 |
|---|---|---|---|
| 中硬岩・硬岩 | 5m未満 | 直 | - |
| 〃 | 全掘削高5m以上 | 1:0.3 | 下から H=5m毎に 1m |
| 軟岩Ⅰ・軟岩Ⅱ | 1m未満 | 直 | - |
| 〃 | 1m以上5m未満 | 1:0.3 | - |
| 〃 | 全掘削高5m以上 | 1:0.3 | 下から H=5m毎に 1m |
| レキ質土・砂質土・粘性土・岩塊玉石 | 1m未満 | 直 | - |
| 〃 | 1m以上5m未満 | 1:0.5 | - |
| 〃 | 全掘削高5m以上 | 1:0.6 | 下から H=5m毎に 1m |
| 砂 | 5m未満 | 1:1.5 | - |
| 〃 | 全掘削高5m以上 | 1:1.5 | 下から H=5m毎に 2m |
| 発破などにより崩壊しやすい状態になっている地山 | 2m未満 | 1:1.0 | 下から H=2m毎に 2m |
注)上記により難い場合は、別途考慮できる(数量算出要領の表の注)。
この表は数量を出すための標準の勾配です。掘削するときの安全(掘削面の勾配・土止め)は、施工計画と労働安全衛生規則で確かめてください。
この計算の法勾配の欄に、表の勾配を自動では入れません。全掘削高が 5 m 以上のときは小段が入り、断面が1つの台形にならないためです。小段のある断面は、断面積を出してから「土量を打つ」に入れます。
余裕幅
構造物を作るために掘るときは、構造物のまわりに作業の幅(余裕幅)を取ります。数量算出要領の余裕幅は次のとおりで、本体コンクリート端からの幅です。
| 種別 | 足場工の有無 | 余裕幅 |
|---|---|---|
| オープン掘削 | 足場工なし | 50cm |
| オープン掘削 | 足場工あり(フーチング高さ2m未満でフーチング上に足場を設置する場合) | 170cm(50cm) |
| 土留掘削 | 足場工なし(プレキャスト構造物で自立型土留めの場合) | 100cm(70cm) |
| 土留掘削 | 足場工あり(フーチング高さ2m未満でフーチング上に足場を設置する場合) | 220cm(100cm) |
足場工の必要な場合とは、H=2m 以上の構造物です。矢板施工の余裕幅は矢板のセンターからの距離です(数量算出要領の表の注)。
例えば幅 0.8 m の構造物を、足場工なしのオープン掘削で掘るときの底幅は 0.8 + 0.5 × 2 = 1.8 m です。
計算の例
底幅 1.8 m・深さ 2.0 m・長さ 15 m を砂質土(普通土)で掘る例です。深さが 1 m 以上 5 m 未満なので、表の床掘り勾配は 1:0.5 です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 上幅(1.8 + 2 × 0.5 × 2.0) | 3.8 m |
| 断面積(1.8 + 0.5 × 2.0)× 2.0 | 5.6 m² |
| 地山の土量(断面積 × 15 m) | 84.0 m³ |
| ほぐした土量(× L 1.20) | 100.8 m³ |
| 締固め後の土量(× C 0.90) | 75.6 m³ |
断面が変わるとき(平均断面法)
数量算出要領は、体積を数学公式のほか、両端の断面積の平均に距離を掛ける平均断面法で出すとしています(土量 = 平均断面積 × 延長)。
例えば断面積 5.6 m² と 4.2 m² の断面が 20 m 離れているときは(5.6 + 4.2)÷ 2 × 20 = 98.0 m³ です。区間ごとに出して足した地山の土量を「土量を打つ」に入れると、ほぐした土量・締固め後の土量・ダンプの台数が出ます。