内線規程の許容値の目安を、こう長と電気の受け方ごとにまとめました。
低圧の配線の電圧降下の許容値は、内線規程(JEAC 8001・一般社団法人 日本電気協会)に決められています。岩崎電気の技術資料(表1.4)がまとめた値は次のとおりです。こう長は、供給変圧器の二次側端子(電気事業者から低圧で受けるときは引込線取付点)から、最遠端の負荷に至る間の電線のこう長です。
表の「電気使用場所内の変圧器から」は「電気使用場所内に設けた変圧器から供給する場合」、「電気事業者から低圧で受電」は「電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合」です。
| こう長 | 電気使用場所内の 変圧器から | 電気事業者から 低圧で受電 |
|---|---|---|
| 60 m 以下 | 幹線 3 % 以下 分岐回路 2 % 以下 | 幹線 2 % 以下 分岐回路 2 % 以下 |
| 120 m 以下 | 合計 5 % 以下 | 合計 4 % 以下 |
| 200 m 以下 | 合計 6 % 以下 | 合計 5 % 以下 |
| 200 m 超過 | 合計 7 % 以下 | 合計 6 % 以下 |
岩崎電気の技術資料が参考文献に挙げているのは内線規程の 2016 年版です。工事の仕様書と、今の版の内線規程でも確かめてください。
60 m 以下は回路ごと、60 m を超えると合計
こう長が 60 m 以下なら、幹線と分岐回路それぞれで標準電圧の 2 % 以下です。資源エネルギー庁のガイドラインも「幹線及び分岐回路においてそれぞれの標準電圧の 2%以下」とし、そこに専用の変圧器があれば幹線は 3 % 以下でよい、電線のこう長が特に長いときは緩和できる、と書いています。
60 m を超えると、表は幹線と分岐回路を足した合計だけになります。計算の画面では「詳しい設定」に、最遠端の負荷までのこう長と、もう一方の回路の降下率を入れると、合計から引いた残りで比べます。
例: 電気事業者から低圧で受けていて、最遠端の負荷までが 110 m(120 m 以下=合計 4 %)。幹線は単相3線式 100/200 V・より線 38 mm²・90 m・40 A で 1.69 V(1.69 %)。分岐回路は単相2線式 100 V・より線 5.5 mm²・20 m・15 A で 1.94 V(1.94 %)。合計 3.63 % で、合計の許容値に収まります。
照明の負荷では 6 % を超えない
同じ技術資料は、道路・トンネル照明では「道路照明施設設置基準・同解説」(公益社団法人 日本道路協会)により、HID ランプは 6 % を超えると光束の低下や立消えの原因になるので電圧降下を 6 % 以下とし、LED の照明器具も 6 % を超えると正常に点灯できない、と書いています。こう長が 200 m を超えても 6 % 以下です。屋外のスポーツ照明・ヤード照明も、一般形安定器や LED の電源装置は電圧変動特性が ±6 % なので、6 % 以下にします(定電力形安定器は ±10 % なので表のとおり)。
国の設計基準の書き方
国土交通省の建築設備設計基準(令和6年版)は、電灯設備と動力設備の配線で「配線太さは、負荷電流及び許容される電圧降下に対して十分なものを選定する」としています。電圧降下と許容電流の両方で太さを決める、という意味です。