電圧降下の基本の式と、35.6・30.8・17.8 の簡略式の出し方です。
電線に電流を流すと、電線の抵抗とリアクタンス(インピーダンス)のために、負荷の側(受電端)の電圧が送り出す側(送電端)の電圧より低くなります。この差が電圧降下です。電圧降下は、電線が長いほど、流す電流が多いほど、電線が細いほど大きくなり、導体が太いほど小さくなります。
基本の式
交流の回路の電圧降下の基準になる式は、次のとおりです(岩崎電気の技術資料 式1-1)。
簡略式(35.6・30.8・17.8)
屋内配線などでは、リアクタンスを無視し、力率を 1 と見て差し支えない場合が多く、そのときは e = K × R × I × L になります。電線 1 m の抵抗 R は、標準軟銅の固有抵抗(20 ℃)1/58 Ω·mm²/m と、銅電線の導電率 97 % から、断面積 A(mm²)で表せます。
この R と係数 K を入れたのが、電圧降下の簡略式です(岩崎電気の技術資料 表1.5)。L はこう長(m)、A は導体の断面積(mm²)です。
| 配線方式 | K | 電圧降下 | どこの電圧か |
|---|---|---|---|
| 単相2線式 | 2 | e = 35.6 × L × I ÷(1000 × A) | 線間 |
| 三相3線式 | √3 | e = 30.8 × L × I ÷(1000 × A) | 線間 |
| 単相3線式・三相4線式 | 1 | e = 17.8 × L × I ÷(1000 × A) | 電圧線と中性線の間 |
35.6 は 17.8 の 2 倍で、行きと帰りの2本ぶんの降下です。30.8 は 17.8 に √3 を掛けた値です(17.8 × √3 = 30.83)。降下率は、電圧降下を回路の電圧で割って 100 を掛けた値(%)です。
例(単相2線式・20 m・0.75 mm²・5 A)
電線の長さ 20 m・太さ 0.75 mm² のコードに 5 A を流すと、e = 35.6 × 20 × 5 ÷(1000 × 0.75)= 約 4.7 V です。100 V の電源なら、コンセントから出る電圧は約 95.3 V になります(ハタヤリミテッドの資料の例と同じ値)。
同じ 100 V の単相2線式で、こう長 30 m・電流 20 A のとき、より線の太さだけを替えると次のとおりです。太さが倍になると、電圧降下は半分になります。
| 太さ | 電圧降下 | 降下率 | 受電端の電圧 |
|---|---|---|---|
| より線 2 mm² | 10.68 V | 10.68 % | 89.32 V |
| より線 3.5 mm² | 6.10 V | 6.10 % | 93.90 V |
| より線 5.5 mm² | 3.88 V | 3.88 % | 96.12 V |
| より線 8 mm² | 2.67 V | 2.67 % | 97.33 V |
| より線 14 mm² | 1.53 V | 1.53 % | 98.47 V |
表の数は、上の簡略式でこのページを作るときに出した値です。