油圧シリンダの推力は F=P·A·η/10(kN)。シリンダ効率は 0.85〜0.95 です。
内径と使用圧力から押出し・引込みの推力
油圧シリンダの推力の式(日進)
日進 参考資料(油圧の計算式)は、シリンダ出力を次の式で表しています。
シリンダ効率は、負荷率と同じように、理論出力(P × A ÷ 10)に掛ける係数です。この計算では、0.95・0.9・0.85 から選びます。
例えば、シリンダ内径 100 mm・ロッド径 56 mm・使用圧力 14 MPa・シリンダ効率 0.9 なら、A1 = 78.540 cm²、A2 = 53.910 cm² で、押出し側 98.96 kN(≒ 10,100 kgf)、引込み側 67.93 kN です。理論出力は 110.0 kN と 75.47 kN です。
荷重を押すのに必要な圧力(ダイキン)
ダイキン テクニカルサービスデータ T-2「油圧装置の実際計画」・油圧シリンダの選定は、シリンダ正味必要圧力を Pu = F/A × 10⁻²(MPa)としています(F は荷重 N、A はシリンダ受圧面積 cm²)。ポンプに必要な圧力は、これにバルブ・配管の圧損 ⊿P を加えた Pp = Pu + ⊿P です。
例えば、シリンダ内径 100 mm(A = 78.540 cm²)で 50 kN(50,000 N)の荷重を押すなら、Pu = 50,000 ÷ 78.540 × 10⁻² = 6.366 MPa です。シリンダ効率 0.9 を見込んで日進の式から逆に求めると、50 ÷ (78.540 × 0.9 ÷ 10) = 7.07 MPa です。
ロッド径の A形・B形・C形(ダイキン)
ダイキンの資料の「油圧シリンダの選定」は、一般的なシリンダの内径とロッド径を表にして、ロッド径を A形・B形・C形の3つに分けています。「一般的にB形(Bロッド)がよく使われます。」とあります。B形のいくつかの径で、受圧面積と、使用圧力 14 MPa・シリンダ効率 0.9 の推力を計算すると、次のとおりです(D/d はシリンダ内径と B形のロッド径 mm、受圧面積 A1・A2 は cm²、推力は kN)。
| D/d | A1 | A2 | 押出し | 引込み |
|---|---|---|---|---|
| 50/28 | 19.635 | 13.477 | 24.74 | 16.98 |
| 63/35.5 | 31.172 | 21.274 | 39.28 | 26.81 |
| 80/45 | 50.265 | 34.361 | 63.33 | 43.30 |
| 100/56 | 78.540 | 53.910 | 98.96 | 67.93 |
| 125/71 | 122.72 | 83.127 | 154.6 | 104.7 |
ダイキンの表の受圧面積は小数第1位に丸めた数です(内径 100 mm の押側は 78.5 cm²、B形の引き側は 53.9 cm²)。同じ資料は、表の内径・ロッド径が JIS B 8367 と一部異なる(22.4→22、35.5→36、71→70 など)と注記しています。実際のロッド径は、シリンダメーカーの資料で確かめてください。
呼び圧力と最低使用圧力
ダイキンの資料は、シリンダの使用圧力から「呼び圧力」のシリーズを選ぶとしています(呼び圧力の例: 3.5 MPa、7 MPa、10 MPa、14 MPa、16 MPa、21 MPa)。シリンダメーカーは呼び圧力ごとにシリーズを作っています。
反対に、低い圧力では動きません。同じ資料は「シリンダは微小な圧力では動作しません(めやす:ヘッド側0.5MPa、ロッド側1MPa必要)ので、シリンダ毎の最低使用(動作)圧力をご確認頂き、その圧力以上でご使用下さい。」としています。ヘッド側は押出し側、ロッド側は引込み側です。この計算は、使用圧力が 1 MPa より低いときに、このめやすを表示します。
ロッド側の圧力が高くなるとき
ダイキンの資料は、メータアウト絞りを使うと増圧され、「特にシリンダが下向きで、荷重がぶら下がっている場合、ロッド側の圧力が異常に上昇することがあります」としています。そのときのロッド側の圧力を P₂ = (P₁ × Ah + W) ÷ Ar と書いています(P₁ はヘッド側の圧力、Ah・Ar はヘッド側・ロッド側の受圧面積、W は荷重)。
対策として、高圧の機器・配管・ホースを使う、カウンタバランス回路にする、ヘッド側を減圧する、を挙げています。引込み側の受圧面積はヘッド側より小さいので、同じ力でも圧力は高くなります。
出典
内径と使用圧力から押出し・引込みの推力