説明

エアシリンダのチューブ内径の選定(必要な推力から選ぶ例)

負荷率・使用圧力・向きを決め、推力が負荷以上になるチューブ内径を選びます。

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内径と使用圧力から押出し・引込みの推力

チューブ内径の選定の手順(SMC)

SMC の「エアシリンダの機種選定手順」の手順1 は、チューブ内径を次の順で求めます。

  1. 目的に合わせて、負荷率を決めます(静的作業 0.7 以下・ガイドに乗った負荷の水平作動 1 以下・負荷の垂直~水平作動 0.5 以下)。
  2. 使用圧力を決めます。一般的には、レギュレータ(減圧弁)で空気源圧力の 85% に設定します。
  3. シリンダ出力を使う方向(押し側・引き側)を決めます。「水平で押、引とも同負荷の場合は引き側で選定してください。」とあります。
  4. グラフ1(押し側)かグラフ2(引き側)で、負荷率・使用圧力・シリンダ出力(負荷質量)の交点からチューブ内径を読みます。

グラフの代わりにこの計算を使うときは、チューブ内径を変えながら推力を計算し、推力が負荷以上になるいちばん小さいチューブ内径を選びます。下の例1〜3 は、SMC の資料の例を、この計算で確かめたものです。

負荷(必要な推力)の見積もり

ダイキン テクニカルサービスデータ T-2「油圧装置の実際計画」・油圧シリンダの選定は、シリンダに必要な最大出力を F = Fs + fd(N)としています。Fs は抵抗負荷、fd は加速力で、fd = m・V/t(m は質量 kg、V は速度 m/s、t は加速時間 s)です。抵抗負荷は、上下運動なら荷重 W、水平運動なら μW(μ は静止摩擦係数)で、動いている間は u'W(u' は動摩擦係数)です。

例えば、質量 100 kg の負荷を垂直に持ち上げ、0.1 秒で 0.3 m/s まで加速するなら、Fs は 100 × 9.80665 = 980.7 N、fd = 100 × 0.3 ÷ 0.1 = 300.0 N で、F = 1,281 N です。物を動かすには、抵抗負荷に加速力が必要になります。

例1: ワークを 1,000 N で押し付ける(押し側・負荷率 0.7・0.5 MPa)

SMC の例1 は、「ワークを押し付けておくために、最低1000Nの出力が必要な場合」に、押し側のグラフ1 で負荷率 0.7・使用圧力 0.5 MPa から、チューブ内径 63 mm を選んでいます。押出し側の推力 F1 = 0.7 × A1 × 0.5 を計算すると、次のとおりです。

D(mm)押出し側 F11,000 N 以上か
40439.8 N✗ 足りない
50687.2 N✗ 足りない
631,091 N○ 足りる

1,000 N 以上になるいちばん小さいチューブ内径は 63 mm で、SMC の例と同じです。

例2: ガイドに乗った 30 kg を水平に動かす(引き側・負荷率 1・0.4 MPa)

SMC の例2 は、押し・引きとも同じ負荷なので、出力の小さい引き側のグラフ2 で、負荷率 1・使用圧力 0.4 MPa・負荷質量 30 kg から、チューブ内径 40 mm を選んでいます。グラフにはシリンダ出力(N)と負荷質量(kg)の目盛りが並び、その下に重力単位への換算(1 kgf ≒ 9.8 N)が書いてあります。ここでは 30 kg を 30 × 9.80665 = 294.2 N として、引込み側の推力 F2 = 1 × A2 × 0.4 を計算すると、次のとおりです(D/d はチューブ内径とピストンロッド径 mm・ピストンロッド径は SMC の表-1 の組)。

D/d(mm)引込み側 F2294.2 N 以上か
32/12276.5 N✗ 足りない
32/16241.3 N✗ 足りない
40/14441.1 N○ 足りる
40/16422.2 N○ 足りる

チューブ内径 32 mm では足りず、40 mm ならどちらのピストンロッド径でも負荷以上になります。SMC の例と同じ 40 mm です。

例3: 100 kg を垂直に引き上げる(引き側・負荷率 0.5・0.5 MPa)

SMC の例3 は、負荷質量 100 kg を垂直に引き上げるので、引き側のグラフ2 で、負荷率 0.5・使用圧力 0.5 MPa から、チューブ内径 80 mm を選んでいます。100 kg は 100 × 9.80665 = 980.7 N です(D/d はチューブ内径とピストンロッド径 mm)。

D/d(mm)引込み側 F2980.7 N 以上か
63/20700.8 N✗ 足りない
80/251,134 N○ 足りる

63 mm では 700.8 N で足りず、80 mm で 1,134 N になります。SMC の例と同じ 80 mm です。

チューブ内径を決めたあとに確かめること

SMC の機種選定手順は、チューブ内径を求めたあとに、ストローク終端の衝撃(クッションの吸収能力)、ピストンロッドに掛かる横荷重、長いストロークでの座屈、空気消費量と所要空気量を確かめるとしています。この計算は推力だけなので、これらは SMC の資料のグラフと表で確かめてください。

出典

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内径と使用圧力から押出し・引込みの推力