負荷率は、シリンダの中の抵抗を見込む係数です。作業の目的で 0.7・0.5・1 を使い分けます。
内径と使用圧力から押出し・引込みの推力
負荷率は、シリンダの中の抵抗を見込む係数
SMC の資料1 は、負荷率について「シリンダを選定する際には、出力方向に対して、負荷以外にもいくつもの抵抗があることを忘れてはいけません。」と書いています。続けて「静止中においてもシリンダ内のパッキンや軸受の抵抗を差し引かなければなりませんし、作動中はさらに、排気圧による反力も作用します。」「このようなシリンダ出力に対する抵抗は、シリンダサイズ、圧力、速度等の条件により変化するため、大きめにみておく必要があります。」としています。
この抵抗を大きめに見込むために掛ける係数が負荷率 η です。押出し側の推力は F1 = η × A1 × P、引込み側は F2 = η × A2 × P で、負荷率を掛けた推力が負荷以上になるようにチューブ内径を選定します。
作業目的ごとの負荷率(SMC)
| 作業目的 | 負荷率 η |
|---|---|
| 静的作業(クランプ、バイス低速のかしめ等) | 0.7 以下 |
| 動的作業(ガイドに乗った負荷の水平作動) | 1 以下 |
| 動的作業(負荷の垂直~水平作動) | 0.5 以下 |
SMC の機種選定手順は、負荷の垂直~水平作動の 0.5 以下に「(注)特に高速で作動する必要のある場合は、負荷率をさらに下げます。」と注を付け、グラフは負荷率 0.4・0.3・0.2 以下でも選定できるとしています。資料1 には「動的作業において、特に高速作業を必要とする場合は、負荷率をさらに低くとります。低くとった分、シリンダ出力に余裕がでるため、速度は出やすくなります。」とあります。
負荷率で推力はどう変わるか
チューブ内径 50 mm・ピストンロッド径 20 mm・使用圧力 0.5 MPa のエアシリンダで、負荷率ごとの推力を計算すると次のとおりです。負荷率 1 の行が理論出力です。
| 負荷率 η | 作業目的(SMC) | 押出し側 F1 | 引込み側 F2 |
|---|---|---|---|
| 1 | ガイドに乗った負荷の水平作動 | 981.7 N | 824.7 N |
| 0.7 | 静的作業(クランプ、バイス低速のかしめ等) | 687.2 N | 577.3 N |
| 0.5 | 負荷の垂直~水平作動 | 490.9 N | 412.3 N |
| 0.4 | 特に高速で作動する場合 | 392.7 N | 329.9 N |
| 0.3 | 特に高速で作動する場合 | 294.5 N | 247.4 N |
| 0.2 | 特に高速で作動する場合 | 196.3 N | 164.9 N |
負荷率を掛けた推力で負荷を受け持つので、理論出力は負荷の 1 ÷ η 倍以上になります。負荷率 0.7 なら 1.43 倍、負荷率 0.5 なら 2.00 倍、負荷率 0.4 なら 2.50 倍、負荷率 0.3 なら 3.33 倍、負荷率 0.2 なら 5.00 倍です。
使用圧力の決め方
SMC の機種選定手順は、使用圧力について「一般的には、レギュレータ(減圧弁)で空気源圧力の85%に設定します。」としています。例えば空気源圧力が 0.7 MPa なら、0.7 × 0.85 = 0.595 MPa です。空気源の圧力のまま計算すると、推力を大きく見積もります。
同じ手順のグラフ1・グラフ2 は、使用圧力 0.2〜0.8 MPa で選定できるように描かれています。
出典
内径と使用圧力から押出し・引込みの推力