説明

ブレーカーの容量の計算(幹線の遮断器の上限)

幹線のブレーカーの定格電流の上限を、第148条の決まりで求めます。

幹線(低圧幹線)を保護するブレーカー(過電流遮断器)の定格電流には上限があります。決めているのは、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」第148条第1項第五号です。電動機などの起動電流が大きい負荷がつながる幹線は、上限が電線の許容電流より大きくなることがあります。

第148条第1項第五号の決まり

低圧幹線の電源側には、その幹線を保護する過電流遮断器を施設します(第四号)。その過電流遮断器の定格電流は、幹線の許容電流以下です(第五号の本文)。ただし、幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、次のいずれかによることができます。

電動機等は「電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具」です(同 第二号)。記号で書くと次のとおりです。

IM: 電動機等の定格電流の合計(A) IH: 他の電気使用機械器具の定格電流の合計(A) IW: 幹線の電線の許容電流(A) IB: 幹線を保護する遮断器の定格電流(A) 電動機等が無い IB ≦ IW 電動機等がある IB ≦ 3 × IM + IH  ただし 3 × IM + IH > 2.5 × IW なら IB ≦ 2.5 × IW

ただし書きは「よることができる」なので、本文の「許容電流以下」も使えます。電圧降下のために太い電線を使い、許容電流が 3 × IM + IH より大きいときは、許容電流そのものが上限です。計算の画面は、イとロの小さい方と、許容電流の、大きい方を上限として表示します。

例

第二種電気工事士の令和6年度上期の学科試験(問9)は、電熱器 10 A が1台と電動機 20 A が2台の単相2線式の幹線で、幹線の太さを決める電流 IW と、遮断器の定格電流を決める電流 IB を問うています。正答は IW 60 A・IB 130 Aです。3 × 40 + 10 = 130 Aが、2.5 × 60 A = 150 Aより小さいので、イの値が上限です。

次の表は、電線の許容電流 IW を第二号で要る値ちょうどとして計算した上限です。1行目が試験の例(電動機等 40 A・他 10 A)、5行目は電動機等の無い幹線、6行目は許容電流 50 A の太い電線を使ったときです。決まりの列は、第五号のイ・ロと本文(許容電流以下)のどれで上限が決まったかです。

IMIHIW3 × IM + IH2.5 × IW上限決まり
40 A10 A60 A130 A150 A130 Aイ
30 A10 A47.5 A100 A118.75 A100 Aイ
80 A20 A108 A260 A270 A260 Aイ
100 A10 A120 A310 A300 A300 Aロ
0 A30 A30 A――30 A本文
10 A5 A50 A35 A125 A50 A本文

表の数は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。

電動機等 100 A・他 10 A の行は、3 × 100 + 10 = 310 Aが 2.5 × 120 A = 300 Aを超えるので、ロの 300 Aが上限です。許容電流が 100 A を超えているので、300 Aが標準定格に無ければ、直近上位の標準定格まで使えます(ハ)。

よくある間違い

電線を管に収めるとき、2.5 倍に使う許容電流は電流減少係数を掛けない値でよいとされています(第146条第2項第二号ロのただし書)。計算の画面は減少係数を掛けた後の許容電流を 2.5 倍にも使うので、そのときのロの上限は安全側の値です。

標準定格(遮断器の定格電流の並び)は日本産業規格の物で、このアプリは一覧を収録していません。上限以下の定格の遮断器を選びます。最終の判断は、設計者・監理者が電気設備の技術基準の解釈と工事の仕様書で確かめてください。

出典

ブレーカーの容量を計算する