説明

換算蒸発量の計算式(実際蒸発量から)

換算蒸発量(相当蒸発量)の求め方と、2257 kJ/kg の意味です。

換算蒸発量(相当蒸発量)は、ボイラーが実際に作った蒸気の熱を、「大気圧において 100 ℃ の飽和水から 100 ℃ の飽和蒸気を発生させる場合の蒸気量」に置き換えた値です(日本産業機械工業会の蒸気ボイラ性能表示ガイドライン 4.2)。蒸気の圧力や給水温度が違うボイラーどうしでも、蒸気を作る能力を同じ基準の蒸気量で比べられます。

計算式

換算蒸発量 = G ×(h″ − h′)÷ 2257 G: 実際蒸発量(kg/h) h″: 発生した蒸気の比エンタルピー(kJ/kg) h′: 給水の比エンタルピー(kJ/kg) 2257: 大気圧で 100 ℃ の飽和水 1 kg を 100 ℃ の飽和蒸気にする蒸発潜熱(kJ/kg)

二級ボイラー技士の公表問題(令和8年10月掲載 問3)も、「換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるのに要した熱量を 2257 kJ/kg で除したものである」を適切な記述としています。

ガイドラインの式(2) は、換算蒸発量を燃料の側から「燃料消費量 × 燃料発熱量 × 1000 ×(ボイラ効率 ÷ 100)÷ 2257」と書いています。燃料消費量 × 燃料発熱量 × 1000 × 効率は出熱のことなので、実際蒸発量から求めた値と同じになります。

熱出力(kW)

熱出力(kW)= 換算蒸発量 × 2257 ÷ 3600

ガイドラインの式(1) です。換算蒸発量に 2257 を掛けて 3600 で割るので、出熱(kJ/h)を 3600 で割った値と同じです。

計算例

環境省の算定シートの例(実際蒸発量 2,500 kg/h・h″ 2,773.04 kJ/kg・給水温度 25 ℃)では、換算蒸発量 = 2,500 ×(2,773.04 − 104.65)÷ 2257 = 2,955.7 kg/h、熱出力は 1,853.0 kW です。実際蒸発量より換算蒸発量の方が大きいのは、給水を 25 ℃ から温めて圧力のある蒸気にする熱が、100 ℃ の水を蒸発させる熱より大きいからです。

2257 と蒸気表の値

IAPWS-IF97 の式で標準大気圧(0.101325 MPa)の飽和を求めると、飽和温度 99.974 ℃・飽和蒸気 2,675.53 kJ/kg・飽和水 418.99 kJ/kg で、蒸発潜熱は 2,256.54 kJ/kg です(環境省の表1 の 0.101325 MPa の行と同じ値)。このアプリはガイドラインと公表問題の 2257 で割ります。違いは 0.02 % です。

よくある間違い

二級ボイラー技士の公表問題(令和8年4月掲載 問1)は、「ボイラー効率は、換算蒸発量と発生蒸気の比エンタルピの積の値を、燃料消費量と燃料低発熱量の積の値で除して示すことができる」を適切でない記述としています。換算蒸発量に掛けるのは、発生蒸気の比エンタルピーではなく 2257 kJ/kg です(換算蒸発量 × 2257 = 出熱)。

出典

ボイラー効率を計算する