展開長は、直線部の長さに中立面の円弧の長さ x を加えて求めます。
板厚・曲げ半径・曲げ角度か、外寸と伸び補正値から、曲げの展開長(mm)
計算式と記号
中立面基準法は、曲げても長さの変わらない中立面の長さを展開長とする方法です。アマダの板金加工の基礎講座(第11回)の式は次のとおりです。
- L = a + x + b
- x = (180 − Θ) ÷ 360 × 2π × (R + t1 ÷ 2)
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| L | 展開長(曲げる前の板の長さ) | mm |
| a・b | 曲げの両側の直線部(円弧を除いた平らな部分) | mm |
| x | 曲げ部の長さ(中立面の円弧の長さ) | mm |
| Θ | 曲げ角度(曲げた後の2つの面の内側の角度) | ° |
| R | 内側の曲げ半径 | mm |
| t1 | 曲げた所の板厚(R≧5t は元の板厚 t と同じ) | mm |
180 − Θ は円弧の中心角です。R が板厚の5倍以上の曲げ(中立面基準法ー1)は板厚が変わらず、中立面は板厚の中心にあると考えて t1 = t で計算します。5倍より小さい曲げ(中立面基準法ー2)は、R/t の表の t1/t で t1 を求めます。
90°曲げの式(1.57)
曲げ角度 Θ が 90° なら (180 − 90) ÷ 360 × 2π は π ÷ 2 で、円周率を 3.14 とすると 1.57 です。出典はこれを L = a + 1.57 (R + t/2) + b と書いています(R<5t は t/2 を t1/2 にします)。
板厚 2.3 mm・内側の曲げ半径 15 mm の 90°曲げなら、x = 1.57 × (15 + 2.3 ÷ 2) = 25.36 mm です。円周率 π(3.14159…)で計算すると 25.37 mm になります。直線部 a 40 mm・b 50 mm なら展開長は 115.36 mm(π なら 115.37 mm)です。
演習問題 8(曲げが2か所)
出典の演習問題 8 は、板厚 2.3 mm・内側の曲げ半径 15 mm で、曲げ角度 60° と 120° の曲げが2か所ある形です。R/t = 15 ÷ 2.3 = 6.52… で 5 以上なので、中立面は板厚の中心(R + t/2 = 16.15 mm)です。円周率は 3.14 とします。
| 部分 | 式 | 長さ(mm) |
|---|---|---|
| 直線部 | 40 + 30 + 50 | 120 |
| R部(60度) | 2 × 16.15 × 3.14 × 120 ÷ 360 | 33.81 |
| R部(120度) | 2 × 16.15 × 3.14 × 60 ÷ 360 | 16.90 |
| 展開長 | 120 + 33.81 + 16.90 | 170.71 |
曲げ角度 60° の曲げは円弧の中心角が 120°、120° の曲げは 60° です。曲げが2か所以上の形は、直線部を全部合計し、曲げごとに求めた曲げ部の長さ x を加えます。計算の画面では曲げ1か所ずつ x を求められます(曲げ角度 60° なら 33.81 mm、120° なら 16.90 mm)。
中立面基準法は近似値
出典は、中立面基準法を机上の計算で近似値としています。精度の高い製品が要求されるときは、外側寸法加算法(伸び補正値)で計算する必要があります。曲げ部の半径が小さい一般的な板金加工製品は外側寸法加算法で、半径が板厚の5倍以上の曲げは中立面基準法で展開長を求めます(第3回)。
出典
- アマダ 板金加工の基礎講座Ⅱ 箱物展開 第11回 内側寸法加算法、中立面基準法: 中立面基準法ー1・ー2 の式・90°の式・演習問題 8
- アマダ 板金加工の基礎講座Ⅱ 箱物展開 第11回 演習問題 8(解答のページ): 直線部 120・R部 33.81 と 16.90・展開長 170.71
- アマダ 板金加工の基礎講座Ⅱ 箱物展開 第3回 展開長の求め方: 外側寸法加算法と中立面基準法の使い分け
板厚・曲げ半径・曲げ角度か、外寸と伸び補正値から、曲げの展開長(mm)