材質ごとの横弾性係数と、材質の選び方の目安です。
線径・中心径・巻数と材質から、ばね定数と荷重
ばねの材質と横弾性係数
横弾性係数 G は、材質ごとの弾み方の違いを表す値で、ばね定数は横弾性係数に比例します。三協スプリング製作所の「コイルばね設計方法」は、次の値を示しています。
| 材質 | 横弾性係数 |
|---|---|
| 硬鋼線・ピアノ線・オイルテンパー線・ばね鋼鋼材 | 78,500 N/mm² |
| ステンレス鋼線 SUS304・SUS316 | 68,500 N/mm² |
| ステンレス鋼線 SUS631J1 | 73,500 N/mm² |
スガワラの圧縮コイルばね計算書も、ピアノ線 SWP-B の横弾性係数を 78,500 N/mm²(JIS B 2704 記載)としています。
材質でばね定数はどれだけ変わるか
ばね定数は横弾性係数に比例します。同じ寸法(線径 5 mm・中心径 25 mm・有効巻数 5)なら、ピアノ線・硬鋼線とオイルテンパー線・ばね鋼鋼材は 78.5 N/mm、SUS631J1 は 73.5 N/mm、SUS304・SUS316 は 68.5 N/mm です。ピアノ線のばねを同じ寸法の SUS304 に替えると、ばね定数は約 12.7% 下がります。同じ荷重が要るときは、線径か巻数を見直します。
材質の選び方
三協スプリング製作所の「材質選定基準」は、身近で一般的によく使われるばね用材料を、次の用途で分けています。
| 材質(記号) | 用途 |
|---|---|
| 硬鋼線(SW-B・SW-C) | 汎用 |
| ピアノ線(SWP-A・SWP-B) | 汎用・耐疲労 |
| オイルテンパー線(SWOSC-B・SWOSC-V・SWI180・SWI200) | 汎用・耐熱・耐疲労 |
| ステンレス鋼線(SUS304・SUS316・SUS631J1) | 汎用・耐熱・耐食 |
| ばね鋼鋼材(SUP9・SUP9A・SUP10) | 汎用・耐疲労 |
同じ資料は、静荷重の条件でのばね材料の使用限界温度を、次のように示しています。
| 材料(記号) | 使用限界温度 |
|---|---|
| 硬鋼線 SW-B,C | 110 ℃ |
| ピアノ線 SWP-A,B,V | 140 ℃ |
| オイルテンパー線 SWOSC-B,V・SWI180,200 | 250 ℃ |
| ばね用ステンレス鋼線 SUS304-WPB | 290 ℃ |
| ばね用ステンレス鋼線 SUS631J1-WPC(析出硬化系) | 340 ℃ |
熱がかかる所にはオイルテンパー線やステンレス鋼線、さびが心配な所にはステンレス鋼線、繰返しの多い所にはピアノ線・オイルテンパー線・ばね鋼鋼材が、この表の用途に当たります。
表に無い材料のとき
表に無い材料は「表に無い材料(横弾性係数を入力)」を選び、材料の規格や製造者の資料にある横弾性係数を N/mm² で入力します。横弾性係数が 1,000 分の 1 の値(kN/mm² のまま)になっていないかに気をつけてください。10,000 N/mm² 未満の値を入力すると、単位を確かめる1行を表示します。
出典
- コイルばね設計方法(株式会社三協スプリング製作所)(このページで引いた所: 横弾性係数の表)
- 材質選定基準(株式会社三協スプリング製作所)(このページで引いた所: 各種材質の選定方法・材質毎の使用限界温度)
- 圧縮コイルばね計算書(株式会社スガワラ ばねの豆知識)(このページで引いた所: SWP-B の G=78500)
メーカーの技術資料からは、式と数と資料名だけを引いています。
線径・中心径・巻数と材質から、ばね定数と荷重