荷重は P = k × δ、応力は τ0 と応力修正係数 κ から求めます。
線径・中心径・巻数と材質から、ばね定数と荷重
荷重とたわみ
ばね定数がたわみ 1 mm あたりの力なので、たわみ δ のときの荷重 P は、ばね定数にたわみを掛けて求めます(三協スプリング製作所「荷重(N)=ばね定数×タワミ」)。圧縮コイルばねのたわみは、自由長から取付高さを引いた長さです(スガワラの計算書 s=Lo-L1)。
例: スガワラの圧縮コイルばね計算書では、自由長 60 mm のばね(ばね定数 78.5 N/mm)を取付高さ 50 mm まで縮めます。たわみは 60 mm − 50 mm = 10 mm で、荷重は 78.5 × 10 = 785 N です。
せん断応力(未修正と修正)
ばねを縮めると、線には応力が生じます。スガワラの計算書は、繰返しの少ない場合(生涯 1,000 回以下)にはせん断未修正応力 τ0 を、繰返しの多い場合には τ0 に応力修正係数 κ を掛けたせん断修正応力 τκ を使うとしています。三協スプリング製作所の式は、応力修正係数を掛けた形で書いています。
例: 上の荷重 785 N のときです。
スガワラの計算書の値は τ0 = 399.8 N/mm²、κ = 1.31、τκ = 523.7 N/mm² です。τκ が 0.2 N/mm² 違うのは、計算書が κ を 1.31 に丸めてから掛けているためで、このアプリは丸めずに掛けています。また、三協スプリング製作所の式は円周率を 3.14 と書いています。3.14 で計算すると τ0 は 400.0 N/mm² です。このアプリは円周率 π(3.14159…)で計算します。
応力修正係数とばね指数
応力修正係数 κ は、ばね指数 c(中心径 ÷ 線径)だけで決まります。式から求めた値です。
| ばね指数 c | 応力修正係数 κ |
|---|---|
| 4 | 1.4038 |
| 5 | 1.3105 |
| 6 | 1.2525 |
| 8 | 1.1840 |
| 10 | 1.1448 |
| 12 | 1.1194 |
| 15 | 1.0946 |
ばね指数が小さい(線径に対して中心径が小さい)ほど、応力修正係数は大きくなり、せん断修正応力とせん断未修正応力の差も大きくなります。スガワラの引張コイルばね計算書の例(c = 10)では κ = 1.145 と書いています(式の値は 1.1448)。
使用限界(三協スプリング製作所)
三協スプリング製作所は、ばねの使用限界を次の式で示し、この値以上の応力になると永久変形(ヘタリ)や折損が発生するとしています。引張強さは材料と線径ごとに違い、同社の「各材料の引張強さ」の表に線径 0.08〜15.0 mm の値があります。
| 材料の区分 | 塑性係数 |
|---|---|
| 硬鋼線・ピアノ線 | 0.5 |
| オイルテンパー線 | 0.55 |
| ステンレス鋼線 | 0.4 |
線径 5.00 mm の行の引張強さで計算した使用限界です(単位 N/mm²)。
| 材料 | 引張強さ | 塑性係数 | 使用限界 |
|---|---|---|---|
| SWP-B | 1,770 | 0.5 | 708 |
| SWOSC-V | 1,760 | 0.55 | 774.4 |
| SUS304-WPB | 1,350 | 0.4 | 432 |
| SUS631J1-WPC | 1,550 | 0.4 | 496 |
スガワラの計算書の例(SWP-B・線径 5 mm・たわみ 10 mm)のせん断修正応力 523.9 N/mm² は、SWP-B の使用限界 708 N/mm² より小さい値です。同じ寸法を SUS304 で作ると、ばね定数は 68.5 N/mm に下がり、同じ 10 mm 縮めたときのせん断修正応力は 457.2 N/mm² で、SUS304-WPB の使用限界 432 N/mm² を超えます。材質を替えるときは、ばね定数だけでなく応力も確かめます。
このアプリは使用限界との比較(判定)はしません。引張強さは、使う材料の規格や、製作するばねメーカーの資料で確かめてください。
出典
- コイルばね設計方法(株式会社三協スプリング製作所)(このページで引いた所: 荷重・応力・応力修正係数の式・使用限界の式・塑性係数の表・各材料の引張強さの表(5.00 mm の行))
- 圧縮コイルばね計算書(株式会社スガワラ ばねの豆知識)(このページで引いた所: 荷重 F=R×s・s=Lo-L1・τ0・κ・τκ の計算例)
- 引張コイルばね計算書(株式会社スガワラ ばねの豆知識)(このページで引いた所: c=10 の κ=1.145)
メーカーの技術資料からは、式と数と資料名だけを引いています。
線径・中心径・巻数と材質から、ばね定数と荷重