軒樋と縦樋のサイズを、屋根に降る雨の量と排水能力を比べて決める計算です。
軒樋と縦樋のサイズは、取り付ける屋根に降る雨の量を排水できる組み合わせにします。積水化学工業の資料「雨に対する設計のポイント(通常排水)」は、次の5つの手順で計算しています。
- 1本の縦樋(落とし口)が受け持つ屋根投影面積 A を出す
- その屋根に降る雨の量(降雨量)Q を出す
- 使う軒樋の排水能力 Q1 を出す
- 使う縦樋の排水能力 Q2 を出す
- Q と Q1・Q2 を比べて、排水できるかを見る
1. 受け持つ屋根投影面積 A
屋根は真上から見た水平投影の面積で見ます。勾配なりの屋根の面積ではありません。大きな外壁に接した屋根は、外壁に当たった雨も受けるので、外壁面の面積の 50 % を足します(外壁の幅 × 屋根から上の高さ × 0.5)。
2. 降雨量 Q
降雨強度 180 mm/h なら、N = 180 ÷ 1000 ÷ 3600 = 5.0×10⁻⁵ m/s です。Q の単位は m³/s で、1,000 倍すると L/s です。
3. 軒樋の排水能力 Q1(クッターの式)
V1 は、軒樋の中を落とし口へ流れる水の速さです。資料はクッターの開水路平均流速の簡略式で出しています。水勾配 i が緩いほど、また平均流体深さ m が小さいほど、遅くなります。流速に排水断面積を掛け、流量計数 K で割った値が軒樋の排水能力です。
4. 縦樋の排水能力 Q2(トリチェリーの式)
V2 は、軒樋にたまった深さ h の水が、落とし口から縦樋へ流れ落ちる速さです(トリチェリーの式)。軒樋が深いほど速くなります。縦樋の排水断面積と流量係数 C を掛けた値が縦樋の排水能力です。
5. 判定
2つの条件を両方満たせば、排水できます。満たさないときは、軒樋や縦樋のサイズを上げるか、縦樋を足して、1か所が受け持つ屋根の面積を減らします。
計算例(積水化学の資料と同じ条件)
降雨強度 180 mm/h、受け持つ屋根 3.5 m × 20 m、軒樋は大型角とい 超芯P150(排水断面積 0.01149 m²・潤辺長 0.29285 m・深さ 0.0884 m)を水勾配 1/300 で付け、縦樋は VP75(排水断面積 0.00466 m²)のときです。
降雨量 0.00350 m³/s に対して、軒樋の排水能力 0.00499 m³/s と縦樋の排水能力 0.00368 m³/s が上回っているので、排水できます。L/s では、雨の量 3.50・軒樋 4.99・縦樋 3.68 です。
資料は平均流体深さ m を 0.03923 に丸めて計算しているので、V1 は 0.65081 m/s です。Q1 はどちらも 0.00499 m³/s です。
排水断面積・潤辺長・深さ
排水断面積は、軒樋の中で水が流れる部分の断面の面積です。前と後ろの縁の高さが同じ平行といは縁まで、前の縁が高い前高といは低い方の縁までの面積です。潤辺長は、その断面で水に触れる内側の長さ(底と両側)です。深さ h は、底から水があふれる縁までです。
計算の画面では、排水断面積を cm²、潤辺長と深さを mm で入れます。資料の m² の値は 10,000 倍、m の値は 1,000 倍します(0.01149 m² は 114.9 cm²、0.29285 m は 292.85 mm、0.0884 m は 88.4 mm)。箱樋(底が平らで両側が立った形)は、排水断面積 = 幅 × 深さ、潤辺長 = 幅 + 深さ × 2 で出せます。