Pcm は Cu と B も含めた9つの元素から、Ceq と別の係数で求めます。
ミルシートの化学成分から Ceq・Pcm と SN 材の上限の判定
Pcm の式
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
溶接割れ感受性組成 Pcm は、C・Si・Mn・Cu・Ni・Cr・Mo・V・B の9つの元素(質量 %)から求めます。中部鋼鈑の製品カタログ p.4 の JIS G 3136 の表の備考にある式で、新日鉄技報 第380号(2004)の表1 にも同じ式があります。
5B は B(ほう素)の量を 5 倍する項です。B が 0.0010 % なら、Pcm に 0.005 % を加えます。B は Ceq の式には含まれません。
Ceq との係数の違い
Mn の係数は、Ceq では 1/6、Pcm では 1/20 です。Si・Ni・Cr・Mo の係数も Pcm の方が小さく、V だけは Pcm の方が大きい(Ceq 1/14・Pcm 1/10)です。C の係数はどちらも 1 なので、Pcm の値に占める C の割合は Ceq より大きくなります。
例: C 0.16・Si 0.35・Mn 1.45(ほかは 0) の鋼では、Ceq 0.416 % のうち C の項 0.16 が約 38 %、Pcm 0.244 % のうち約 66 % を占めます。新日鉄技報 第380号は「低Pcm化にはC量の低減が最も効果的である」と書いています。
SN 材の Pcm の上限
中部鋼鈑の製品カタログ p.4 の JIS G 3136 の表では、Pcm の上限は SN400B・SN400C が 0.26 %、SN490B・SN490C が 0.29 % で、板厚による違いはありません。SN400A には上限がありません。
表は Ceq と Pcm の上限を並べて示しています。どちらの値で受け入れるかは、鋼材の注文の条件と JIS G 3136 の本文で確かめます。このアプリは Ceq と Pcm をそれぞれの上限と比べて表示します。
Pcm を低く抑えた鋼の例
新日鉄技報 第380号(2004)の「建築構造用高溶接性590N/mm2鋼の開発」は、溶接時の予熱を省くことを目指し、「Pcmは一般的な溶接施工において予熱が不要とされる0.22%以下を開発目標とした」と書いています。これはこの鋼の開発目標で、SN 材の規格の値ではありません。
同じ報告は、JIS Z 3101 に規定される溶接熱影響部の最高硬さ試験の硬さが高いほど溶接冷間割れ感受性が高いとされていること、実際の予熱温度の設定では、実施工に使う鋼材と溶接材料による JIS Z 3158 の y 形溶接割れ試験で確かめることが望ましいとされていることも書いています。
出典
- 中部鋼鈑 製品カタログ(JIS 規格品 p.4「建築構造用圧延鋼板(JIS G3136)」): p.4 の表の備考(Pcm の式)と Pcm の上限
- 新日鉄技報 第380号(2004)「建築構造用高溶接性590N/mm2鋼の開発」: 表1 の式・Pcm の開発目標・最高硬さ試験と y 形溶接割れ試験(p.45〜47)
ミルシートの化学成分から Ceq・Pcm と SN 材の上限の判定