説明

遮断器の遮断容量と短絡電流

遮断器の遮断容量は、取り付ける所の短絡電流以上の物を選びます。

遮断器(ブレーカー)は、取り付ける所で流れる短絡電流を遮断できなければなりません。短絡電流より遮断容量の小さい遮断器は、短絡したときに電流を遮断できません。河村電器産業の技術資料「短絡電流の計算」は、三相 1500 kVA の計算例で短絡電流 39200 A を求め「この場合幹線用ブレーカの遮断容量は、39.2kA以上のものを選びます」としています。単3 の計算例(42200 A)も「42.2kA以上のものを選びます」です。

遮断容量を決めるのは短絡電流

第一種電気工事士の令和7年度上期の学科試験(出題例・問20)は、高圧受電設備の受電用遮断器の遮断容量を決定する場合に必要なものを問うています。選択肢は「受電点の三相短絡電流」「受電用変圧器の容量」「最大負荷電流」「小売電気事業者との契約電力」で、正答は受電点の三相短絡電流です。変圧器の容量や負荷の電流で遮断容量を選ぶのではありません。

試験の例

第三種電気主任技術者試験の令和5年度上期の電力(問16)は、定格容量 10 MVA・66/6.6 kV・%Z 7.5 %(自己容量基準)の三相変圧器と、変圧器一次側から電源側をみた %Z 5 %(基準容量 100 MVA)の系統です。電源側の %Z を 10 MVA 基準に直すと 0.5 %、変圧器と合わせて 8 %です(正答 (a) 8.0)。二次側の短絡電流は 10.9 kAで、事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流の最小値は 12.5 kA です(正答 (b))。

令和7年度下期の電力(問12)は、定格容量 20 MVA・77/6.6 kV・%Z 10.6 % の三相変圧器と、電源の %Z 1.1 %(どちらも基準容量 20 MVA・抵抗分は無視)です。合わせて 11.7 %、二次側の短絡電流は 15.0 kAで、二次側に設置する遮断器の定格遮断電流は 20.0 kA が正答です。

問題合成 %Z短絡電流正答
令和5年度上期 問168 %10.9 kA12.5 kA
令和7年度下期 問1211.7 %15.0 kA20.0 kA

どちらも二次電圧 6.6 kV(6600 V)で、合成 %Z は変圧器の定格容量(10,000 kVA・20,000 kVA)が基準です。短絡電流の列は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。計算の画面の %インピーダンスの欄に合成 %Z を入力すると、同じ値を表示します。

変圧器から離れた所の遮断器

河村電器産業の技術資料の早見表は、変圧器の容量と二次電圧ごとに、変圧器から短絡点までの距離と電線の太さで短絡電流対称値を読む図です。距離が長いほど、電線が細いほど短絡電流は小さくなります。計算の画面は電線のインピーダンスを含めない変圧器直下の値なので、変圧器から離れた分岐の遮断器には大きめの値です。

ただし、計算の画面は電動機の寄与電流も含めていません(三菱電機の FAQ と同じ)。電動機の多い回路では、変圧器直下の値より大きな短絡電流が流れることがあります。%インピーダンス法の計算例の話題で、河村電器産業の資料の値と比べています。

よくある間違い

遮断器の遮断容量の最終の判断は、設計者・監理者が、メーカーの資料と工事の仕様書で確かめてください。

出典

短絡電流を計算する