説明

短絡電流の計算式(変圧器の定格電流 × 100 ÷ %Z)

変圧器直下の推定短絡電流を、定格電流と%インピーダンスから求める式です。

変圧器の二次側のすぐ近く(変圧器直下)で短絡したときに流れる電流を、推定短絡電流といいます。変圧器の定格電流と%インピーダンス(%Z)から求めます。三菱電機の FA FAQ は、遮断器の機種選定に使う「変圧器直下推定短絡電流」を次の式で求めるとしています。

計算式

三相の変圧器  In = P × 1000 ÷(√3 × V) 単相の変圧器  In = P × 1000 ÷ V 推定短絡電流  Is = In × 100 ÷ %Z P: 変圧器の定格容量(kVA) V: 二次電圧(V) 三相は線間電圧 %Z: 変圧器の%インピーダンス(%) In: 変圧器の定格電流(A) Is: 推定短絡電流(A)

FAQ の式は「変圧器定格電流(A)=変圧器容量(kVA)/(回路電圧(V)×√3)」と書かれています。kVA を V で割ると kA になるので、A で求めるときは 1000 を掛けます。三菱電機の配電用油入変圧器の総合カタログの定格電流計算式は「容量(kVA)× 1000」を「√3 × 定格電圧(V)」で割る形で、単相は √3 で割りません。

例(三相 1000 kVA・210 V・%Z 5 %)

In = 1000 × 1000 ÷(√3 × 210)= 2,749.3 A Is = 2,749.3 × 100 ÷ 5 = 54,985.7 A   ≒ 55.0 kA

%Z が 5 % の変圧器は、二次側の端子のすぐ近くで短絡すると定格電流の 100 ÷ 5 = 20 倍の電流が流れます。この変圧器の二次側に付ける遮断器は、遮断容量が 55.0 kA以上の物を選びます。

なぜ 100 ÷ %Z を掛けるのか

第一種電気工事士の令和6年度下期の学科試験(問8)は、定格一次電圧 Vn、定格容量 S、一次側に換算した内部インピーダンス Z(1相分)の三相変圧器の百分率インピーダンスを問うています。正答は次の式です。

%Z = Z × S ÷ Vn² × 100

二次側の端子で三相短絡したときを一次側に換算して考えると、1相分の電圧 Vn ÷ √3 が内部インピーダンス Z だけにかかるので、短絡電流は Vn ÷(√3 × Z)です。上の式を Z = %Z × Vn² ÷(100 × S)と書き直して代入すると、短絡電流は S ÷(√3 × Vn)× 100 ÷ %Z、つまり一次側の定格電流 × 100 ÷ %Z になります。定格電流に対する倍率(100 ÷ %Z)は二次側でも同じです。%Z は、定格電流を流したときの内部インピーダンスの電圧降下が、定格電圧(1相分)の何 % かを表す数です。

定格電流の表と比べる

三菱電機の総合カタログの定格電流一覧は、計算値の4桁目を四捨五入し有効数字3桁で書かれています。このアプリも同じ書き方で表示します(「計算の内訳」は小数1桁)。次の表のいちばん右の列は、カタログの一覧の同じ容量と電圧の欄と同じ値です。

変圧器電圧定格電流有効数字3桁
三相 300 kVA210 V824.8 A825 A
三相 1,000 kVA210 V2,749.3 A2,750 A
三相 1,500 kVA420 V2,062.0 A2,060 A
三相 2,000 kVA440 V2,624.3 A2,620 A
単相 100 kVA210 V476.2 A476 A
単相 500 kVA210 V2,381.0 A2,380 A

表の数は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。

単相の変圧器

単相の変圧器は、定格電流を √3 で割らずに求めます。単相3線式(210/105 V)の変圧器は、外線間の 210 V で計算します。河村電器産業の技術資料の単3 の計算例も、外線間(210 V)の短絡電流を IS = 1000 × 10³ ÷(V × Z)× 100 で求めています。たとえば 単相 500 kVA・210 V・%Z 4.3 %(同じ資料の表5 の 500 kVA の値)は、定格電流 2,381.0 A、推定短絡電流 55.4 kAです。

出典

短絡電流を計算する