変圧器直下の推定短絡電流を、定格電流と%インピーダンスから求める式です。
変圧器の二次側のすぐ近く(変圧器直下)で短絡したときに流れる電流を、推定短絡電流といいます。変圧器の定格電流と%インピーダンス(%Z)から求めます。三菱電機の FA FAQ は、遮断器の機種選定に使う「変圧器直下推定短絡電流」を次の式で求めるとしています。
計算式
FAQ の式は「変圧器定格電流(A)=変圧器容量(kVA)/(回路電圧(V)×√3)」と書かれています。kVA を V で割ると kA になるので、A で求めるときは 1000 を掛けます。三菱電機の配電用油入変圧器の総合カタログの定格電流計算式は「容量(kVA)× 1000」を「√3 × 定格電圧(V)」で割る形で、単相は √3 で割りません。
例(三相 1000 kVA・210 V・%Z 5 %)
%Z が 5 % の変圧器は、二次側の端子のすぐ近くで短絡すると定格電流の 100 ÷ 5 = 20 倍の電流が流れます。この変圧器の二次側に付ける遮断器は、遮断容量が 55.0 kA以上の物を選びます。
なぜ 100 ÷ %Z を掛けるのか
第一種電気工事士の令和6年度下期の学科試験(問8)は、定格一次電圧 Vn、定格容量 S、一次側に換算した内部インピーダンス Z(1相分)の三相変圧器の百分率インピーダンスを問うています。正答は次の式です。
二次側の端子で三相短絡したときを一次側に換算して考えると、1相分の電圧 Vn ÷ √3 が内部インピーダンス Z だけにかかるので、短絡電流は Vn ÷(√3 × Z)です。上の式を Z = %Z × Vn² ÷(100 × S)と書き直して代入すると、短絡電流は S ÷(√3 × Vn)× 100 ÷ %Z、つまり一次側の定格電流 × 100 ÷ %Z になります。定格電流に対する倍率(100 ÷ %Z)は二次側でも同じです。%Z は、定格電流を流したときの内部インピーダンスの電圧降下が、定格電圧(1相分)の何 % かを表す数です。
定格電流の表と比べる
三菱電機の総合カタログの定格電流一覧は、計算値の4桁目を四捨五入し有効数字3桁で書かれています。このアプリも同じ書き方で表示します(「計算の内訳」は小数1桁)。次の表のいちばん右の列は、カタログの一覧の同じ容量と電圧の欄と同じ値です。
| 変圧器 | 電圧 | 定格電流 | 有効数字3桁 |
|---|---|---|---|
| 三相 300 kVA | 210 V | 824.8 A | 825 A |
| 三相 1,000 kVA | 210 V | 2,749.3 A | 2,750 A |
| 三相 1,500 kVA | 420 V | 2,062.0 A | 2,060 A |
| 三相 2,000 kVA | 440 V | 2,624.3 A | 2,620 A |
| 単相 100 kVA | 210 V | 476.2 A | 476 A |
| 単相 500 kVA | 210 V | 2,381.0 A | 2,380 A |
表の数は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。
単相の変圧器
単相の変圧器は、定格電流を √3 で割らずに求めます。単相3線式(210/105 V)の変圧器は、外線間の 210 V で計算します。河村電器産業の技術資料の単3 の計算例も、外線間(210 V)の短絡電流を IS = 1000 × 10³ ÷(V × Z)× 100 で求めています。たとえば 単相 500 kVA・210 V・%Z 4.3 %(同じ資料の表5 の 500 kVA の値)は、定格電流 2,381.0 A、推定短絡電流 55.4 kAです。