電源側・電線・電動機を含めた短絡電流の計算例と、変圧器だけの値の比べです。
変圧器だけでなく、電源側のインピーダンス、電線のインピーダンス、電動機の寄与を含めて短絡電流を求めるときは、%インピーダンス法を使います。河村電器産業の技術資料「短絡電流の計算」の計算例は、どれも 1000 kVA 基準の %インピーダンスで計算しています。
三相の計算例(1500 kVA・6.6 kV/420 V)
条件は、トランス容量 1500 kVA・50 Hz、接続電線 200 mm²(2 条)、短絡点は二次側 10 m です。電源の短絡容量は 1000 MVA(XL/RL = 25)、変圧器は表4(トランスメーカ数社の平均値)、短絡電流に寄与する電動機群の総容量は変圧器容量 × 0.8 でインピーダンス 25 %(XM/RM = 6)とします。
資料はこの例で「幹線用ブレーカの遮断容量は、39.2kA以上のものを選びます」としています。同じ 1500 kVA の変圧器(表4 の %ZT 5.55 %)を、変圧器だけ(電源側・電線・電動機を含めない)で計算すると 37.2 kAです。この例では、電動機の寄与で増える分が、電源側と電線で減る分より大きく、変圧器だけの値は資料の値より小さくなっています。電動機の多い回路では、変圧器だけの値で遮断容量を選ぶと足りないことがあります。
単3 の計算例(500 kVA・6.6 kV/210-105 V)
条件は、トランス容量 500 kVA・50 Hz、接続電線 200 mm²(2 条)、短絡点は二次側 10 m、電源の短絡容量は 500 MVA(XL/RL = 25)、変圧器は表5 の値です。外線間(210 V)の短絡で、電動機の項はありません。電線は往復の長さ(2ℓ)で計算します。
同じ 500 kVA の変圧器(表5 の %ZT 4.30 %)を変圧器だけで計算すると 55.4 kAです。電動機の項が無いこの例では、電源側と電線のインピーダンスの分だけ、資料の値(42.2 kA)が変圧器だけの値より小さくなっています。
合成 %Z を計算の画面に入力する
資料の IS の式は、基準容量 1000 kVA と、その基準の %インピーダンス Z で書かれています。計算の画面の定格容量の欄に基準容量の 1000、%インピーダンスの欄に Z を入力すれば同じ式です。三相・1000 kVA・420 V・3.506 % は 39.2 kA、単相・1000 kVA・210 V・11.277 % は 42.2 kAで、資料の 39200 A・42200 A と同じです(有効数字3桁)。
電線のインピーダンス
電線の %インピーダンス ZW は、電線の抵抗 R とリアクタンス L(どちらも mΩ/m)、条数 N、短絡点までの長さ ℓ から求めます。資料の表3 は、600V ビニル電線(JIS C 3307)と 600V ビニルケーブル(JIS C 3342)の抵抗と、ケーブルの並べ方ごとのリアクタンスの表です。計算例の 200 mm² は、抵抗 0.092 mΩ/m、リアクタンス 0.084 mΩ/m(50 Hz・1C ケーブル密着)です。電線が長く細いほど ZW が大きくなり、短絡電流は小さくなります。
計算の画面は、電線と電動機の項を含めない変圧器直下の値です。電線・電動機を含める計算は、資料の式と表で行い、設計者・監理者が確かめてください。