余掘は、計画の底面と法面の外側を余分に掘る部分です。厚さと幅は表で決まります。
船種と施工水深から余掘厚・余掘幅と扱い土量
余掘とは
浚渫の数量では、計画の断面(計画浚渫深度までの底面と法面)を掘る土量のほかに、その外側を余分に掘る土量を見込みます。この余分に掘る部分を余掘(余掘り)といい、その土量を余掘土量といいます。計画の断面を掘る土量(純土量)に余掘土量を加算したものが扱い土量です。
数量算出要領(2.1 (3))は、「余掘土量は、底面・法面の別、使用船種、施工水深、土質その他の施工条件に応じて以下により算出する」とし、底面の余掘の厚さ(底面余掘厚)を表-2.1 で、法面の余掘の幅(法面余掘幅)を表-2.2 で決めています。どちらの表も、出典は「港湾土木請負工事積算基準」です。北海道開発局の「港湾・漁港工事数量算出マニュアル(案)」の表も同じ値です。
表-2.1 底面余掘厚
土質と船種ごとに、施工水深の3つの区分で余掘厚が決まっています。表では複数の列にまたがって1つの値が書かれている所(グラブ浚渫船の 0.5 m など)も、ここでは列ごとに書きました。
| 土質 | 船種 | −5.5 m未満 | −5.5〜−9.0 m未満 | −9.0 m以上 |
|---|---|---|---|---|
| 普通土砂 | ポンプ浚渫船 | 0.6 m | 0.7 m | 1.0 m |
| 普通土砂 | グラブ浚渫船 | 0.5 m | 0.5 m | 0.6 m |
| 普通土砂 | バックホウ浚渫船 | 0.5 m | 0.5 m | 0.5 m |
| 岩盤 | グラブ浚渫船 | 0.5 m | 0.5 m | 0.5 m |
| 岩盤 | バックホウ浚渫船 | 0.5 m | 0.5 m | 0.5 m |
表-2.1 の注(字のまま):
- 施工水深は平均水面(M.S.L.)を基準とする浚渫底面の水深である。
- 上表は、標準的な余掘幅であるから、特に波浪、潮流の激しい海域での浚渫、浮泥土層の浚渫、潮位測定・深浅測量等の困難な海域等での浚渫については、法面余掘幅を別途定めることができる。
- 余掘厚が上表により難い場合は、試験掘またはボーリング等によって余掘厚を定める。
- 既設岸壁前面の受動崩壊幅以内の浚渫の余掘厚については、別途定める(「2.2 数量区分 (3) 岸壁前面の浚渫」参照)。
2つ目の注は表-2.1 の注ですが、「法面余掘幅を別途定めることができる」と書かれています。北海道開発局のマニュアル(案)の同じ表の注は「底面余掘を別途に定めることができる」です。
表-2.2 法面余掘幅
法面余掘幅は、施工水深によらず、土質と船種で決まります。
| 土質 | 船種 | 余掘幅 |
|---|---|---|
| 普通土砂 | ポンプ浚渫船 | 6.5 m |
| 普通土砂 | グラブ浚渫船 | 4.0 m |
| 普通土砂 | バックホウ浚渫船 | 2.0 m |
| 岩盤 | グラブ浚渫船 | 2.0 m |
| 岩盤 | バックホウ浚渫船 | 1.0 m |
表-2.2 の注は、「上表は、標準的な余掘幅であり、特に波浪、潮流の激しい海域での浚渫、浮泥土層の浚渫、潮位測定・深浅測量等の困難な海域等での浚渫については、法面余掘幅を別途定めることができる」「余掘幅が上表により難い場合は、試験掘またはボーリング等によって余掘幅を定める」です。岩盤のポンプ浚渫船は、表-2.1 にも表-2.2 にも行がありません。
施工水深の列の読み方
表-2.1 の列は「−5.5m未満」「−5.5〜−9.0m未満」「−9.0m以上」です。水深は負の数で書かれていますが、深さの大きさで読みます(5.5 m より浅い・5.5 m 以上 9.0 m 未満・9.0 m 以上)。数の大小で読むと「−9.0m以上」が浅い側の全部になり、3つの列が重なってしまいます。ポンプ浚渫船の底面余掘厚が、深いほど大きくなっている(0.6 m・0.7 m・1.0 m)ことからも、深さで読むことが分かります。
| 施工水深 | 列 | 底面余掘厚(ポンプ浚渫船) |
|---|---|---|
| 5.4 m | −5.5 m未満 | 0.6 m |
| 5.5 m | −5.5〜−9.0 m未満 | 0.7 m |
| 8.9 m | −5.5〜−9.0 m未満 | 0.7 m |
| 9.0 m | −9.0 m以上 | 1.0 m |
ちょうど 5.5 m は「−5.5〜−9.0m未満」、ちょうど 9.0 m は「−9.0m以上」の列です。グラブ浚渫船は 9.0 m 未満が 0.5 m、9.0 m 以上が 0.6 m です。
岩盤の余砕と、土質が異なる法面
岩盤を砕いてから浚渫する場合、数量算出要領(2.1 (4))は、岩盤の砕岩量を「純砕岩量に余砕量を加算して算出する」とし、岩盤の余砕厚を 0.8 m、余砕幅を 2.0 m としています。砕岩後の浚渫量には、扱い土量・純土量・余掘土量の決まりをそのまま使います。余砕は砕岩の量の決まりで、表-2.1・表-2.2 の余掘(岩盤 0.5 m・グラブ浚渫船 2.0 m・バックホウ浚渫船 1.0 m)とは別の数です。
北海道開発局のマニュアル(案)は、土質が異なる場合の法面余掘を図で示しています。土砂の下に岩盤がある法面では、岩盤の部分に岩盤の法面余掘幅を、その上の土砂の部分に土砂の法面余掘幅をとります。このアプリは1つの土質で計算するので、層ごとに分けて計算します。
出典
船種と施工水深から余掘厚・余掘幅と扱い土量