説明

保守率とは(光束維持率と周囲環境)

保守率の意味と求め方、保守率で台数がどう変わるかです。

照明設備は長く使ううちに、光源の光束が下がり、器具の表面や室内の面が汚れて、照度が少しずつ下がります。岩崎電気の照明技術資料(TD16 4.2)は、この照度の低下を補うために照明計算に補正係数(保守率)を見込み、その設備に必要な照度(維持照度)より高い値で計画する、としています。

保守率は、新設時に見込む照度(初期照度)と、その施設で確保すべき照度(照明器具の清掃と古い光源の交換をする直前の照度)の比です(パナソニック「平均照度の計算法」M=Et/Ei)。

令和4年度 2級電気工事施工管理技術検定(後期)No.21 では、日本産業規格(JIS)の用語として「保守率とは、照明施設をある一定の期間使用した後の作業面上の平均照度の、その施設の新設時に同じ条件で測定した平均照度に対する比である」が適当な記述でした。

保守率の求め方

M = Ml × Md M: 保守率 Ml: 光源の設計光束維持率 Md: 照明器具の設計光束維持率

保守率は、光源の設計光束維持率と照明器具の設計光束維持率を掛けて求めます(岩崎電気 照明技術資料 TD16 4.2.1)。手順は、① 使う光源の交換時間を決め、点灯時間に応じた光源の設計光束維持率(Ml)を読む、② 周囲環境(良い・普通・悪い)を決める、③ 照明器具の種類から設計光束維持率曲線のカテゴリーを決める、④ 清掃間隔に応じた照明器具の設計光束維持率(Md)を読む、⑤ M = Ml × Md で求める、の5つです。

計算例(同じ資料): 照明器具の交換時間 40,000 時間・その時の光束維持率 70 %・清掃は年1回・完全密閉形の器具・周囲環境は普通なら、Ml = 0.70、Md = 0.95 で、M = 0.70 × 0.95 = 0.665、資料の値は 0.67 です。

電気設備学会の検討ケース2 は、LED 照明器具の保守率を 0.86(光源の光束維持率 0.95 × 器具の光束維持率 0.90)とし、業務用施設で使う LED 照明器具の保守率は一般に 0.6〜0.9 程度の広い範囲になる、としています。パナソニックの資料は、白熱電球はランプの寿命が短いので、光源の交換方式に関係なく光源の設計光束維持率に 0.93 を使う、としています。

周囲環境の分け方(屋内)

岩崎電気 TD16 表2.1 から(参考文献は照明学会 技術指針 JIEG-001「照明設計の保守率と保守計画」第3版)。

保守率で台数が変わる

令和5年度 1級 No.28・令和7年度 1級 No.25 では、「保守率が小さいほど、照度は下がる」が適当な記述です。同じ照度を得るには、保守率が小さいほど台数が要ります。令和3年度 1級 No.28 の事務室(18 m × 12 m・750 lx・7,500 lm・照明率 0.9)で、保守率だけを変えると次のとおりです。

保守率計算の台数切り上げた台数
0.926.67 台27 台
0.830.00 台30 台
0.734.29 台35 台
0.640.00 台40 台

下面カバー付の照明器具は、下面開放形の照明器具と比べて保守率が小さくなります(令和2年度 1級 No.28 で適当な記述)。

出典

照度を計算する