熱貫流率は、表面熱伝達抵抗と層の熱抵抗を合計した熱貫流抵抗の逆数です。
層の厚さと熱伝導率から熱貫流率(U値)
熱貫流率の計算式
建築研究所「壁の熱貫流率の算出方法について」は、壁の熱貫流率 U(W/m²K)を次の式で算出することを基本としています。住宅の技術情報 第三章第三節の式(4)・式(5)も同じ形です。
- U:熱貫流率(W/(m²·K))
- Rsi:熱的境界内側(室内側)の表面熱伝達抵抗(m²·K/W)
- Rse:熱的境界外側(外気側)の表面熱伝達抵抗(m²·K/W)
- d:建材の厚さ(m)。住宅の技術情報では実寸法とします
- λ:建材の熱伝導率(W/(m·K))
- R:空気層の熱抵抗や、建材等の熱抵抗(m²·K/W)
熱貫流率は「内外の温度差1度の場合において1平方メートル当たり貫流する単位時間当たりの熱量」です(住宅の技術情報 第三章第一節 3.74)。値が小さいほど、熱を通しにくい部位です。分母の Rsi + Σ(d ÷ λ)+ ΣR + Rse を、国土交通省の資料の計算表は「熱貫流抵抗」と書いています。このアプリも熱貫流抵抗と表示します。
熱抵抗の計算(厚さは m に直す)
層の熱抵抗は、厚さを熱伝導率で割った値です。厚さは mm で入力しても、式では m に直します。押出法ポリスチレンフォーム 保温板 1種(λ 0.040)の 25 mm なら、0.025 ÷ 0.040 = 0.625 m²·K/W です。
コンクリート(λ 1.6)で同じ熱抵抗にするには、0.625 × 1.6 = 1.0 m(1,000 mm)の厚さが要ります。どちらの熱伝導率も付録 A 表 1 の値で、断熱材の熱伝導率はコンクリートの 1/40 です。
層の熱抵抗の合計 ΣR は、層の熱抵抗をすべて加えた値です。熱抵抗が示された製品や空気層は、その値をそのまま加えます(式(5) の「建材等の熱抵抗」・付録 A 表 4)。
例題の計算(6層の壁)
建築研究所の例題の壁を、式のとおりに計算します。表面熱伝達抵抗は室内側 0.11・室外側 0.04 です。
| 層 | 厚さ(mm) | λ | 熱抵抗 |
|---|---|---|---|
| Rsi(室内側) | - | - | 0.110 |
| せっこうボード | 8 | 0.22 | 0.036 |
| 非密閉中空層 | - | - | 0.090 |
| 押出法ポリスチレンフォーム 保温板 1種 | 25 | 0.040 | 0.625 |
| コンクリート | 150 | 1.6 | 0.094 |
| セメント・モルタル | 25 | 1.5 | 0.017 |
| タイル | 10 | 1.3 | 0.008 |
| Rse(外気側) | - | - | 0.040 |
| 熱貫流抵抗 | 1.019 |
熱抵抗がいちばん大きいのは押出法ポリスチレンフォーム(0.625)で、熱貫流抵抗の約61%です。表の熱抵抗は小数第3位に四捨五入した値で、表面熱伝達抵抗と合わせて表の値のまま合計すると 1.020 になります。熱貫流抵抗は丸める前の値の合計(1.019473…)なので 1.019 です。
表示の桁と丸め
出典の資料は、熱抵抗・熱貫流抵抗・熱貫流率を小数第3位まで示しています(建築研究所の例題の 0.981、国土交通省の計算表の 0.138・1.826・0.548 など)。一般部位の熱貫流率の端数の扱いは、住宅の技術情報 第三章第三節には書かれていません。
このアプリは途中の値を丸めずに計算し、表示のときだけ小数第3位に四捨五入します。国土交通省の RC 造の屋根の計算表も、層の熱抵抗を 0.113・2.174 と表示しながら、熱貫流抵抗は丸めない値を合計した 2.416 です(表示した値を合計すると 0.090 + 0.113 + 2.174 + 0.040 = 2.417)。
出典
層の厚さと熱伝導率から熱貫流率(U値)