計画下水量・断面の余裕・流速の範囲を、流量計算の順に見ます。
下水道の管きょの流量計算は、区間ごとに計画下水量を求め、その量を流せる管径と勾配を決め、流速が範囲の中にあるかを確かめる順に進めます。長野県土木事業設計基準の流量計算表の例(表3.1.2)も、排水面積・流達時間・雨水量・汚水量の欄の後に、計画下水管きょの断面・こう配・流速・流量の欄を並べています。マニングの式で求めるのは、この「流速」と「流量」の欄です。
計画下水量
長野県の基準は、計画下水量を次のとおりとしています。
- 汚水管きょ: 計画時間最大汚水量
- 雨水管きょ: 計画雨水量
- 合流管きょ: 計画雨水量と計画時間最大汚水量とを加えた量
- 遮集管きょ: 雨天時計画汚水量
生駒市排水施設基準は、計画汚水量を Q = 家庭汚水量原単位(ℓ/人・日)× 計画人口(人)÷(24 × 60 × 60 × 1,000)(m³/sec)で求め、雨水は合理式 Q = 1/360 × C × I × A(C は流出係数・I は降雨強度 mm/h・A は排水面積 ha)で求めるとしています。計画人口は原則として1戸当たり5人(ワンルームマンションタイプは2人)です。たとえば 100 戸(計画人口 500 人)で原単位 820 ℓ/人・日(同基準の表1 の時間最大・住居系)なら、計画汚水量は 0.0047 m³/s です。
断面の余裕
汚水管きょは、計画下水量に余裕を見込んだ量を満流で流せる断面にします。余裕の大きさと管径の区切りは、基準ごとに違います。
- 長野県土木事業設計基準 表3.1.1(汚水管きょの余裕・管きょの内径): 700 mm 未満は計画下水量の 100 %、700 mm 以上 1,650 mm 未満は 50 % 以上 100 % 以下、1,650 mm 以上 3,000 mm 以下は 25 % 以上 50 % 以下。
- 生駒市排水施設基準 表3(計画最大汚水量に対し): 小口径管渠(200〜600 mm)100 %、中口径管渠(700〜1,500 mm)75 %、大口径管渠(1,650〜3,000 mm)35 %。
- 堺市宅地開発等に関する指導基準 表2-3: 分流式汚水管は管径 200〜600 mm が 100 %、700〜1,500 mm が 50 %。分流式雨水管・合流管は 0 %(実流量)。
- 町田市公共下水道設置基準: 汚水管は管径 700 mm 未満で計画汚水量の2倍、700 mm 以上 1,650 mm 未満で 1.5 倍、1,650 mm 以上で 1.25 倍の排水可能な断面。雨水管は計画雨水量の 1.2 倍の排水可能な断面。
余裕 100 % は、満流の流量が計画下水量の2倍以上という意味です。
流速の範囲
長野県の基準は、計画下水量に対して、汚水管きょの流速を最小 0.6 m/s・最大 3.0 m/s、雨水管きょと合流管きょを最小 0.8 m/s・最大 3.0 m/s とし、理想的な流速は 1.0〜1.8 m/s 程度としています。生駒市の基準も、汚水管渠(表5)と雨水管渠(表8)に同じ範囲を定めています。最小流速は沈殿物が堆積しないため、最大流速は管きょやマンホールを損傷しないための値です。雨水管きょは土砂が流入して沈殿物の比重が大きいので、最小流速が汚水管きょより大きくなっています。
最小管径
生駒市・町田市・堺市の基準は、汚水管の最小管径を 200 mm、雨水管を 250 mm としています。
例 計画人口 500 人の汚水管
計画汚水量 0.0047 m³/s に余裕 100 % を見込むと、満流で 0.0095 m³/s 以上を流せる断面が要ります。内径 200 mm の塩化ビニル管(n = 0.010)を勾配 3 ‰ で布設すると、満流の流量は 0.0234 m³/s(計画汚水量の 4.9 倍)、流速は 0.743 m/s で、汚水管きょの範囲(0.6〜3.0 m/s)の中です。管径・勾配・管の種類を替えて、区間ごとに同じように確かめます。
出典
- 長野県土木事業設計基準 第16編 下水道事業 第3章 管路施設(H26年11月1日版)1 計画下水量・2 余裕(表3.1.1)・3 流量の計算(Manning式 3.1.1・図3.1.1 円形管の特性曲線)・4 流速及びこう配
- 生駒市排水施設基準(平成19年11月)第2章 汚水管渠 6 流量計算(マニング公式・表2 粗度係数n・表3 管径と断面余裕の関係)・8 流速及び勾配(表5)・第3章 8 流速(表8)
- 堺市宅地開発等に関する指導基準 指導基準の項目2(1)(排水施設)断面の決定・表2-3 断面余裕のとり方・表2-5 標準流量表(マニングの公式)
- 町田市公共下水道設置基準(2017年12月)第3章 設計 2 流量計算・3 管渠管径及び断面の決定