回転数を 80% にすると、軸動力は理論上 51.2% になります。
軸動力は回転数の3乗に比例する
環境省「温室効果ガス排出削減等指針」対策の個票「排気量可変排気ファンの導入」は「ファンの風量は回転数に比例する。また、誘導モータの軸動力は、理論上モータの回転数の3乗に比例する。したがって、回転数を80%に下げると風量を80%にすることができ、軸動力は51.2%(=0.8³)となる。」としています。回転数を下げた割合よりも、軸動力のほうが大きく下がります。
- 回転数 90.0% → 軸動力 72.9%(変更前より 27.1% 少ない)
- 回転数 80.0% → 軸動力 51.2%(変更前より 48.8% 少ない)
- 回転数 70.0% → 軸動力 34.3%(変更前より 65.7% 少ない)
- 回転数 60.0% → 軸動力 21.6%(変更前より 78.4% 少ない)
- 回転数 50.0% → 軸動力 12.5%(変更前より 87.5% 少ない)
ダンパーで絞るときとの違い
同じ個票は「ファンの風量を下げる方法としてダンパーを用いる方法もあるが、省エネ効果はインバーターを用いてモータの回転数を下げる方法の方が大きくなる。」と書いています。ダンパーで風量を絞っても、ファンの回転数は変わらないので、相似則の式は使えません。
個票の試算は、風量を 80% に絞るときの軸動力比を、ダンパー制御で 95%、インバーターによる回転数制御で 51% としています。どちらも個票の図(省エネルギーセンターの資料から作成)を基に想定した値です。回転数制御の 51% は、相似則の 0.8³ = 51.2% とほぼ同じです。
22 kW の排風機の試算
個票の「計算条件」は、22 kW の排風機の風量制御を、ダンパー制御からインバーターによる回転数制御に更新したケースを、次の条件で計算しています。
| 項目 | ダンパー制御 | 回転数制御 |
|---|---|---|
| 排風機の定格容量 | 22 kW | 22 kW |
| 稼働時間 | 6,480 h/年 | 6,480 h/年 |
| 軸動力比 | 95% | 51% |
| モータ効率 | 95% | 95% |
| インバーター効率 | ー | 90% |
| 電力消費量 | 142.6 千kWh/年 | 85.0 千kWh/年 |
電力消費量は 142.6 千kWh/年から 85.0 千kWh/年に減り、約 40% の削減です。個票も、エネルギー消費量・CO₂排出量・エネルギーコストの各指標で40%削減としています。稼働時間は「24h×270日と想定」とした値です。
消費電力は軸動力の比のとおりには下がらない
上の試算は、定格容量 × 稼働時間 × 軸動力比をモータ効率(95%)で割り、回転数制御ではさらにインバーター効率(90%)で割って電力消費量にしています。同じ軸動力でも、インバーター効率の分だけ電力消費量は大きくなります。このため、電力消費量の減り方(約 40%)は、軸動力比の減り方(95% → 51% で約 46%)より小さくなります。
計算の画面の軸動力も、相似則の理論値で、消費電力ではありません。例えば、軸動力 22 kW のファンを回転数 80% にしたときの理論値は 11.26 kW です。
風量を 75% にしたとき
同じ指針の対策の個票「変風量・変流量システムの導入」は、「インバーターにより風量を定格値の75%に抑制した場合、消費電力は57%削減される。」としています(省エネルギーセンターの資料の図から作成)。相似則では、風量を 75% にする回転数は 75% で、そのときの軸動力は 42.2%(変更前より 57.8% 少ない)です。
下げられる回転数には下限がある
環境省「温室効果ガス排出削減等指針」対策の個票「排気量可変排気ファンの導入」の備考は「インバーター制御では制御できる回転数の下限値に留意する必要がある。」としています。下げられる回転数(周波数)の範囲は、モーターとインバーターのメーカーの資料で確かめてください。