説明

電波の強度の計算のよくある質問

電波の強度の計算で迷いやすい所と、計算の前提です。

利得は dBi と dBd のどちらで入力しますか

どちらでも計算できます。基本算出式の G は、送信空中線の最大輻射方向における絶対利得を電力比率で表した数です(告示第300号 1(6))。dBi は絶対利得なのでそのまま、dBd(相対利得)は 2.15 を加えて dBi にします(東北総合通信局の電界強度計算表 注2)。「倍」を選ぶと、入力した数をそのまま G に使います。2.15 dBi は 1.64 倍です。

給電線損失が分からないときは

空欄にすると 0 dB(損失を引かない)として計算します。空中線入力電力は送信機出力から給電線系の損失及び不整合損を減じたもの(告示第300号 1(5))なので、損失を引かなければ電波の強度は大きめに計算されます。

反射係数はどれを選びますか

告示第300号の値です。大地面の反射を考慮する場合は、送信周波数が 76 MHz 以上で 2.56、76 MHz 未満で 4。水面等大地面以外の反射を考慮する場合は 4。すべての反射を考慮しない場合は 1 です。手引の算出例1・2 は、算出地点が地上なので大地面の反射を考慮しています。地中埋設型基地局(大地面より 10 cm 以上深部にあり、700 MHz から 4,600 MHz までの基地局は 6)は、計算の画面では扱いません。

6 dB を加えるのはどんなときですか

算出地点付近にビル、鉄塔、金属物体等の建造物が存在し、強い反射を生じさせるおそれがある場合です。算出した電波の強度の値に 6 dB を加えます(告示第300号 4)。電力束密度では 3.98 倍、電界強度では 1.995 倍です。

なぜ 30 MHz 以下は電界強度で比べるのですか

告示第300号 5 が、30 MHz 以下の周波数においては電界強度の値に換算することとしているためです。基準値の第1の表も、30 MHz 以下の行には電力束密度の値がありません。

基準値を超えたときは

手引は次の順に確かめるとしています(手引 p.6〜7)。途中の手順で基準値を満たせば、その先は要りません。

  1. 指向性を考慮した基本算出式(指向性アンテナのみ): S = S0 × D(θ) × F。D(θ) は算出地点の方向の電力指向性係数、F は空中線回転による補正係数です。
  2. アンテナごとの算出式(コリニアアレイアンテナ・開口面空中線・中波放送用モノポールアンテナ・カーテンアンテナ)。
  3. 空間的平均値の算出(高さ 200 cm までに基準値を超える所と超えない所が混在するとき)。
  4. 測定(測定結果が基準値を超えるときは、測定結果の空間的平均値)。算出結果に基づいて施設をするなどの措置をとる場合は、測定は要りません。

どれでも基準値を超える場合は、柵等の安全施設の設置、工事設計の変更などをします。

パルス波(レーダー)の電力は

空中線入力電力の時間平均値を使います(告示第300号 1(5))。手引の算出例3 では、尖頭値 2,000 kW・パルス幅 3 μs・パルス繰り返し周波数 345 pps から、2 × 10⁶ × 3 × 10⁻⁶ × 345 = 2,070 W を時間平均値としています。回転する空中線の補正係数 F は、指向性を考慮した算出式(S = S0 × D(θ) × F)で使う係数で、計算の画面の基本算出式には入りません。

テレビ放送局の電力は

手引の算出例4 では、音声と映像を合わせた電力を使います。映像電力は尖頭値の −5 dB(0.32 倍)を平均値とし、映像 10 kW・音声 2.5 kW なら 3.2 + 2.5 = 5.7 kW です。実際には、ここから給電線の損失分等を差し引いた値を空中線入力電力とします。

安全施設の決まりが適用されない無線設備は

電波法施行規則第21条の4 のただし書の無線設備です: 平均電力が 20 mW 以下の無線局の無線設備・移動する無線局の無線設備・非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合に臨時に開設する無線局の無線設備・総務大臣が別に告示する無線局の無線設備。

携帯電話端末の電波も、この計算で確かめますか

いいえ。この計算は、無線局の送信空中線と、人が通常出入りする場所の間の電波の強度(電波法施行規則第21条の4)です。人体のそばで使う携帯電話端末等は別の決まりで、100 kHz 以上 6 GHz 以下は比吸収率(2 W/kg、四肢は 4 W/kg)、6 GHz を超える周波数は入射電力密度の許容値を守ることが義務づけられています(電波利用ポータル)。

計算結果の扱い

出典

電波の強度を計算する