移動しないアマチュア局は、申請の前に電波の強さが基準値以下か確かめます。
確認が要る局
東北総合通信局は、移動しないアマチュア局(平均電力が 20 mW 以下の無線設備を除く)は、人が通常出入りする場所における電波の強さが基準値以下であることの確認が必要、としています。免許申請や変更申請をする際は、同局の「電界強度計算表」に必要事項を入力し、判定欄より適合していることを確認の上、申請に添付します。
手引は、適合している場合は工事設計書の「その他の工事設計」欄に、電波法第3章に定める基準に合致している旨を記載する、としています。適合していない場合は、柵等の安全施設の設置か、工事設計の変更が要ります(手引 p.1〜2)。
100 W の計算例(14 MHz)
総務省の「アマチュア無線局の電波の強度の算出例」(手引の算出例2)の諸元です: 周波数 14 MHz・送信機出力 100 W・給電線損失 1.5 dB・アンテナ利得 2.15 dBi・アンテナ高 20 m・アンテナ長 5 m・免許されている電波型式 A1A と J3E。アンテナタワーから 5 m の所に塀があり、塀の所まで人が立ち入れます。
- 空中線入力電力: 100 W から 1.5 dB を差し引いて 70.8 W。換算比の大きい方(A1A の 0.5)を掛けた平均電力 70.8 × 0.5 = 35.4 W を使います。
- 利得: 2.15 dBi は 10^(2.15 ÷ 10) = 1.64 倍。
- 基準値: 14 MHz は「3 MHz を超え 30 MHz 以下」の行で、電力束密度の基準値は無いので電界強度で比べます。824 ÷ 14 = 58.9 V/m。
- 距離: 地上 200 cm の点で R = √(18² + 5²)= 18.7 m。
- 反射係数: 算出地点が地上なので大地面の反射を考慮し、14 MHz は 76 MHz 未満なので K = 4。
算出例は S = 35.4 × 1.64 ÷(40π × 18.7²)× 4 = 0.005 mW/cm²、E = √(3770 × 0.005)= 4.34 V/m とし、基準値 58.9 V/m を満たすので適合、としています。算出例は S を 0.005 に丸めてから電界強度に換算しています。丸めずに計算すると S = 0.00530 mW/cm²、E = 4.47 V/m(基準値の 7.6 %)で、計算の画面はこちらを表示します。どちらでも基準値を十分に下回ります。
最も近い場所での基本算出式の結果が基準値を満たしているので、ほかの場所でも基準値を満たしていて、遠くの場所での算出は要りません(手引 p.21)。
平均電力率(換算比)
空中線入力電力には、無線設備規則に規定されている換算比を掛けた平均電力を使うことができます(手引の算出例2)。A1A は 0.5、J3E は 0.16 で、免許されている電波の型式が複数あるときは大きい方を使います。A1A と J3E 以外の電波の型式(A3E・F1D・F3E など)が送信できるときは 1 です(東北総合通信局の留意事項)。分からないときも 1 にします(電界強度計算表 注1)。
10 kHz を超え 10 MHz 以下の周波数では瞬時値の基準値も適用されるので、電界強度計算表のこれらのバンドは、平均電力率が 1、基準値が 83 V/m です(注7・注8)。例: 7 MHz・送信機出力 100 W・2.15 dBi・R = 5 m・J3E では、6分間平均(0.16 を掛けた 16.0 W)で 11.2 V/m(基準値 117.7 V/m の 9.5 %)、瞬時値(100 W)で 28.1 V/m(基準値 83 V/m の 33.8 %)です。
電界強度計算表の欄と、計算の画面の欄
| 電界強度計算表の欄 | 計算の画面の欄 |
|---|---|
| 送信機出力 P[W] | 送信機出力 |
| 給電線損失[dB] | 給電線損失 |
| 平均電力率[倍] | 平均電力率(詳しい設定) |
| アンテナ利得 G[dBi] | アンテナの利得(dBi・dBd・倍) |
| 送信空中線の高さ・送信空中線直下からの水平距離 | 高さと水平距離から(アンテナ高・水平距離) |
| 大地反射の考慮の有無(○・△・×) | 反射の扱い(詳しい設定) |
| 付近の建造物による強い反射の有無 | 強い反射(詳しい設定) |
計算表の利得は絶対利得(dBi)で、相対利得(dBd)の場合は 2.15 を加えた値を入力します(注2)。大地反射の「○」は大地面の反射を考慮、「△」は水面等大地面以外の反射を考慮、「×」は全ての反射を考慮しない場合です(注3)。
計算表は、付近の建造物による強い反射があるとき、電界強度を 2 倍にします(約 6.02 dB)。計算の画面は告示第300号 4 のとおり 6 dB(電界強度で 1.995 倍)を加えるので、3桁目がわずかに違うことがあります。計算表は、バンドごとに基準値のうち最も厳しいものを既定値にしていて、実際に使用する周波数を踏まえて算出した値に直してもよい、としています(注5)。計算の画面は、入力した周波数の基準値で比べます。
ビームアンテナの俯角減衰量
電界強度計算表には「俯角減衰量考慮あり」のシートもあります。ビームアンテナで、基本算出式による判定結果が「×」となった場合に、俯角減衰量を考慮することができます。そのときは根拠になる垂直面指向特性の資料を添付します(同シートの注)。計算の画面は基本算出式だけで、俯角減衰量は扱いません。