電波の強度は基本算出式で電力束密度を求め、30 MHz 以下は電界強度に換算します。
基本算出式
無線設備から発射される電波の強度は、まず次の式で電力束密度 S を求めます(平成11年郵政省告示第300号 5・総務省の手引 p.9)。30 MHz 以下の周波数では、求めた値を電界強度に換算して基準値と比べます。
P は、送信機出力から給電線系の損失及び不整合損を減じた電力です(告示第300号 1(5))。パルス波の場合は時間平均値を使います。ほかの場合も平均電力を使うことができます(手引 p.2)。G は絶対利得を電力比率で表した数で、dBi で表した利得 g は 10^(g ÷ 10) 倍にします。
この式の G には、算出地点の方向にかかわらず主輻射方向の利得を使います。このため、算出結果は過大になることはあっても、過小になることはありません。この式で基準値を満たしていれば、これ以上の評価は要りません(手引 p.9)。
電界強度への換算
告示第300号 2 の換算式です。電力束密度を電界強度に直すときは、3770 を掛けて平方根をとります。例えば S = 0.005 mW/cm² なら E = √(3770 × 0.005)= 4.34 V/m です(手引の算出例2)。
計算の手順
- 無線局の諸元を確かめます: 空中線入力電力 P・アンテナの利得 G・算出地点までの距離 R・周波数 f。
- 周波数に対応する基準値を、電波法施行規則 別表第2号の3の3 で確かめます。
- 基本算出式で電波の強度を算出します。
- 求めた電波の強度と基準値を比べます。基準値以下なら適合です。
手引は、基準値への適合確認の流れを、この4つの順に示しています(手引 p.2)。
計算例(携帯電話基地局・900 MHz)
手引の算出例1の諸元です: 周波数 900 MHz・送信機出力 96 W・給電線損失 3 dB・アンテナ利得 17 dBi・アンテナ高 20 m。アンテナタワーの直下まで人が立ち入れる場合です。
- 空中線入力電力 P = 96 × 10^(−3 ÷ 10) = 48.1 W(手引は 48 W)
- 利得 G = 10^(17 ÷ 10) = 50.1 倍(手引は 50 倍)
- 距離 R = 20 − 2 = 18 m(地上 200 cm の点)
- 反射係数 K = 2.56(大地面の反射・76 MHz 以上)
S = 48.1 × 50.1 ÷(40π × 18²)× 2.56 = 0.152 mW/cm² です(手引は 48 W・50 倍で 0.15 mW/cm²)。900 MHz の基準値は f/1500 = 0.6 mW/cm² なので、基準値の 25.3 % で適合です。電界強度に直すと 23.9 V/m です。
最も近い場所で、主輻射方向の利得を使って算出した結果が基準値を満たしているので、ほかの場所でも基準値を満たしています。これより詳しい評価や、遠くの場所での算出は要りません(手引 p.19)。