基準値を満たす距離は、基本算出式を距離 R について解いて求めます。
距離 R と算出地点
距離 R は、算出に係る送信空中線と算出を行う地点との距離です(告示第300号 1(7))。算出地点は次のとおりです(告示第300号 3・手引 p.6)。
- 送信空中線を中心に、最大輻射方向を基準とする 45 度間隔の各方位にある、人が通常、集合し、通行し、その他出入りする場所。
- 送信空中線から最も近い地点から、少なくとも λ/10(m)間隔の各地点。λ は波長で、λ = 300 ÷ f(m)です(手引 p.2)。
- 各地点で、大地等の上方 10 cm(300 MHz 未満は 20 cm)から 200 cm までを、少なくとも 10 cm(300 MHz 未満は 20 cm)間隔で算出し、その最大値を求めます。
- 算出地点は、送信空中線と金属物体から 10 cm 以上(300 MHz 未満は 20 cm 以上)離れていなければなりません。
アンテナの高さと水平距離から R を求める
基本算出式の電波の強度は距離の自乗に反比例するので、空中線に最も近い点が最大になります。アンテナが高い所にあるときは、地上 200 cm の点が最も近い点です(手引の算出例1・2)。算出例2 では、高さ 20 m のアンテナから水平に 5 m の塀の所で、R = √(18² + 5²)= 18.7 m です。
東北総合通信局の電界強度計算表も、送信空中線の高さが 2 m 以上なら「高さ − 2 m」を人が通常出入りする場所との高低差とし、2 m 未満なら 0 として R を求めます。高さと地上距離は、アンテナの給電部ではなく、エレメントの端部・ブームの端部の、送信アンテナから近い点から測ります。地上距離は、その点から道路や隣家との境界線などまでの距離です(同局の留意事項)。
基準値を満たす距離
基本算出式を R について解いた式です。この距離より遠ければ、主輻射方向でも基準値以下です。電界強度で比べるときは R = √(30 × P × G × K)÷ E基準 と書くこともできます(3770 ÷ 40π = 30.0007 ≒ 30)。東北総合通信局の電界強度計算表の「最小安全距離(主輻射方向)」は、この形の式です。計算の画面は、小数1桁に切り上げて表示します。
例: 430 MHz・空中線入力電力 50 W・利得 10 倍・大地面の反射(K = 2.56)では、基準値 0.287 mW/cm² を満たす距離は 6.0 m です。手引の算出例1(900 MHz)では 9.1 m で、アンテナ直下の地上 200 cm の点(R = 18 m)はこれより遠いので、直下でも基準値以下です。
高さごとの水平距離の例
144 MHz・空中線入力電力 50 W・利得 6 dBi・大地面の反射(K = 2.56)・基準値 0.2 mW/cm² では、基準値を満たす距離は R = 4.6 m です。アンテナの高さごとに、直下からの水平距離に直すと次のとおりです。
| アンテナの高さ | 高低差 (高さ − 2 m) | 水平距離 |
|---|---|---|
| 3 m | 1 m | 4.4 m |
| 5 m | 3 m | 3.4 m |
| 8 m | 6 m | 0 m |
水平距離は、基準値を満たす直下からの水平距離です(R² − 高低差² の平方根を小数1桁に切り上げた値)。アンテナを高くすると、同じ R でも直下からの水平距離は短くなります。高低差が R より大きければ、直下でも基準値以下です(表の 0 m)。高さ 8 m では、高低差 6 m が R = 4.6 m より大きいので、直下でも基準値以下です。