歯数と軸間距離から、チェーンの長さをリンク数で求める式と例です。
歯数と軸間距離から、ローラチェーンのリンク数と長さ
リンク数の式
チェーンの長さは、mm ではなくリンク数(ピッチの数)で決めます。ミスミの技術データは、スプロケットの歯数 N1・N2 と軸間中心距離 Cp が決まっている場合のチェーンの長さを、次の式で求めています。椿本チエイン・大同工業・片山チエンの技術資料も同じ式です。
- Lp: チェーンの長さをリンク数で表したもの
- N1: 大スプロケットの歯数
- N2: 小スプロケットの歯数
- Cp: 軸間中心距離のリンク数で表したもの(軸間距離 ÷ ピッチ)
Cp には、軸間距離(mm)をピッチで割った数を代入します。歯数が同じ(N1 = N2)なら第3項は 0 になり、Lp = N1 + 2Cp です(ピッチ 19.05 mm の 30 歯どうしを、ピッチの 30 倍の 571.5 mm で掛けると 90 リンク)。歯数の差が大きいほど第3項が大きくなります。
Lp の小数点以下の値は切り上げます。椿本チエインの資料は「たとえ僅かでも切上げて1リンクに数えます」としています。途中では丸めずに Lp を計算し、最後に小数点以下を切り上げます。
計算の例(椿本チエインの選定例)
椿本チエインの「一般選定法」の選定例は、2列のローラチェーン 80(ピッチ 25.4 mm)で、大スプロケット 57 歯・小スプロケット 19 歯・軸間距離 350 mm です。
- Cp = 350 ÷ 25.4 = 13.780
- ((N1−N2)/2π)² = (38 ÷ 2π)² = 36.577
- Lp = (57+19)/2 + 2 × 13.780 + 36.577 ÷ 13.780 = 38 + 27.559 + 2.654 = 68.2135
- 小数点以下を切り上げると 69 リンク(奇数)なので、偶数の 70 リンクにします。
椿本チエインの資料も Lp = 68.2 を「偶数リンクとするために、小数点以下を切上げて70リンクとします」としています。70 リンクのチェーンを掛けると、軸間距離は 374.9 mm、チェーンの長さは 70 × 25.4 = 1,778 mm です(軸間距離の求め方はチェーンの軸間距離の計算(リンク数から求める式))。
図の円はピッチ円(JIS B 1802 の Dp = P ÷ sin(180°/N))で、直径と軸間距離の比は縮尺のとおりです。チェーンは2つの円の外側の共通接線と弧で表しています。
π と 6.28・9.86
π は円周率です。ミスミの資料は「π:≒3.14」、椿本チエインと片山チエンの式は 2π を 6.28、π² を 9.86 と書いています。このアプリは π をそのまま使います。
上の例を 6.28 のまま計算すると Lp = 68.2162、π のまま計算すると 68.2135 で、差は 0.0027 リンクです。どちらも切り上げたリンク数は同じです。
使い方
- 「求めるもの」で「リンク数(軸間距離から)」を選びます。
- チェーンの呼び番号を選びます(ピッチが決まります)。
- 大スプロケットの歯数 N1、小スプロケットの歯数 N2(どちらも 5〜250 の整数)、軸間距離(mm)を入力します。軸間距離がスプロケットの外径の和の半分以下のときは、スプロケットどうしが当たるので計算しません。
- 偶数に切り上げたリンク数と、そのリンク数での軸間距離・チェーンの長さが表示されます。切り上げたリンク数が奇数になるときは、奇数のリンク数の軸間距離も表示されます。
- 式と途中の数・スプロケットの外径・目安との比べ・たわみ量の目安は「計算の内訳」で見られます。
- チェーンのリンク数が決まっているときは、「軸間距離(リンク数から)」を選んでリンク数を入力すると、その軸間距離を計算します。
よくある質問
Lp が 68.01 のように、ほとんど整数のときも切り上げますか
切り上げます。椿本チエインの資料は「求めたLの値の端数(小数点以下)は、たとえ僅かでも切上げて1リンクに数えます」としています。このアプリも、端数があれば切り上げます。
大と小を逆に入力するとどうなりますか
式は (N1+N2) と (N1−N2)² でできているので、入れ替えても同じ数になります。このアプリは大きいほうを N1 として計算し、入れ替えたことを表示します。
多列チェーンも同じ式ですか
多列チェーン(2列・3列)もピッチは同じなので、同じ式で計算します(椿本チエインの選定例は 2 列のチェーンです)。
出典
歯数と軸間距離から、ローラチェーンのリンク数と長さ