切削速度は、直径と主軸回転速度から vc = π × D × n ÷ 1000 で求めます。
切削速度の式
- vc: 切削速度(m/min)
- D: 直径(mm)。旋削は被削材直径 Dm、フライスはカッタ径 DC、穴あけはドリル径 DC
- n: 主軸回転速度(min⁻¹)
- π: 円周率(三菱マテリアルとキーエンスの例題は 3.14)
三菱マテリアルの技術情報では、旋削加工の計算式に vc = π・Dm・n ÷ 1000、フライス加工計算式と穴加工計算式に vc = π・DC・n ÷ 1000 と書いてあります。記号が違うだけで、同じ式です。
1000 で割る理由
π × D は1回転の円周(mm)です。これに1分間の回転の数 n を掛けると、1分間に刃先と被削材がすれ違う長さ(mm/min)になります。切削速度は m/min で言うので、1000 で割って mm を m に直します。三菱マテリアルの計算式にも「1000で割るのは、mmをmになおすため」と注記があります。
例: φ50 mm の円周は 157.08 mm、700 min⁻¹ なら1分間に 109,956 mm、1000 で割って 109.96 m/min です。
例題の計算
三菱マテリアルとキーエンスの例題を、π = 3.14 と π = 3.14159… で計算した数です(小数第2位まで)。資料の値は、π を 3.14 にした数を丸めた値です。
三菱マテリアルの例題
| 旋削 | フライス | 穴あけ | |
|---|---|---|---|
| 直径 D(mm) | 50 | 125 | 12 |
| 主軸回転速度 n(min⁻¹) | 700 | 350 | 1,350 |
| 資料の値(m/min) | 約110 | 137.4 | 50.9 |
| π = 3.14 で計算(m/min) | 109.90 | 137.38 | 50.87 |
| π = 3.14159… で計算(m/min) | 109.96 | 137.44 | 50.89 |
キーエンスの例(切削加工・正面フライス加工・穴加工の計算式)
| 旋削 | フライス | 穴あけ | |
|---|---|---|---|
| 直径 D(mm) | 60 | 100 | 10 |
| 主軸回転速度 n(min⁻¹) | 500 | 400 | 1,500 |
| 資料の値(m/min) | 約94 | 約125.6 | 約47.1 |
| π = 3.14 で計算(m/min) | 94.20 | 125.60 | 47.10 |
| π = 3.14159… で計算(m/min) | 94.25 | 125.66 | 47.12 |
三菱マテリアルの穴加工計算式の例題は、途中の式が「3.14×12×1350=50.9」と書いてあり、÷1000 が抜けています。50.9 は 1000 で割ったあとの数です(3.14 × 12 × 1350 ÷ 1000 = 50.87)。
π を 3.14 にしたときの差
3.14 は π(3.14159…)より約 0.05% 小さい数です。π を 3.14 にすると、切削速度は約 0.05% 小さく、主軸回転速度は約 0.05% 大きくなります。
φ50 mm・700 min⁻¹ では 109.96 m/min と 109.90 m/min、φ15 mm・50 m/min の主軸回転速度では 1,061.03 min⁻¹ と 1,061.57 min⁻¹ です。整数に丸めると、回転速度が1つ違うこともあります(1,061 と 1,062)。
このアプリは π = 3.14159… で計算し、「詳しい設定」で 3.14 にも替えられます。
出典
- 旋削加工の計算式(三菱マテリアル 技術情報): vc = π・Dm・n ÷ 1000・「1000で割るのは、mmをmになおすため」・例題
- フライス加工計算式(三菱マテリアル 技術情報): vc = π・DC・n ÷ 1000・例題
- 穴加工計算式(三菱マテリアル 技術情報): vc = π・DC・n ÷ 1000・例題
- 切削加工の計算式(キーエンス 機械加工計算式集): 切削速度の式と例(被削材の直径 Φ60mm)
- 正面フライス加工の計算式(キーエンス 機械加工計算式集): 切削速度の式と例(カッタ径 100mm)
- 穴加工の計算式(キーエンス 機械加工計算式集): 切削速度の式と例(ドリル径 10mm)