図面の記号を1つ打つと、その部品が何 mm から何 mm までなら通るかを出します。穴と軸の組(30H7/g6)なら、すきまばめ・中間ばめ・しまりばめのどれかと、すきま・しめしろも出します。数値は JIS B 0401-1 の表から引き、どの表のどの行から引いたか(出どころ)を数値ごとに書きます。
調べる
はめあいの記号です(ISO 286 / JIS B 0401)
公差域
穴 φ30 H7
+0.021 / 0
φ30.000 〜 φ30.021
公差域の幅 21μm(IT7)
基準寸法の区分
18 を超え 30 以下
φ30 はこの行で引きます。1行ずれると値が変わります。
この図面に、公差の指示が無い寸法はありますか
書いていない寸法にも許容差があります(JIS B 0405)。今見ている公差域より桁が大きいことが多いので、「公差の指示が無い寸法」で確かめてください。
この数値の出どころ
- JIS B 0401-1:2016 表1(18 を超え 30 以下)/表
- JIS B 0401-1:2016 穴 H(24 を超え 30 以下)= 一般規則 EI = −es(軸 h)/表から生成
履歴
公差の指示が無い寸法(普通公差)
公差の指示が無い寸法とは
図面に許容差が書いていない寸法のことです。自由という意味ではなく、表題欄で指定した等級(例 JIS B 0405-m)の許容差が当たります。
使い方
- 「調べる」に図面の記号を1つ打ちます。30H7(穴)・30g6(軸)・30H7/g6(はめあい)・M12-6g(ねじ)のどれも、同じ欄に打てます。
- 上下の許容差・通る寸法の範囲・公差域の図・基準寸法の区分・出どころが出ます。穴と軸の組なら、はめあいの種類とすきまも出ます。
- 図面に許容差が書いていない寸法は、「公差の指示が無い寸法」で表を選び、表題欄の等級(f・m・c・v)を選びます。「調べる」で見ている公差域の何倍かも出ます。
打っている途中は、答えを言い切りません。6g は打ち終わりならねじの等級ですが、打っている途中なら φ6 の g7 を打ちかけた形でもあるからです。
記号の読み方(H7・h7・g6 とは)
30H7 は、基準寸法・公差域の位置・公差等級の3つでできています。
- 30 … 基準寸法(mm)。図面の φ30 の 30
- H … 公差域の位置。大文字は穴、小文字は軸。H は下の許容差が 0、h は上の許容差が 0
- 7 … 公差等級(IT1〜IT18)。数が小さいほど公差域が狭い
同じ φ30 でも、字の大小と等級で通る範囲が変わります(この道具で引いた値)。
| 記号 | 穴/軸 | 上 / 下の許容差(mm) | 通る寸法 |
|---|---|---|---|
| 30H7 | 穴 | +0.021 / 0 | φ30.000 〜 φ30.021 |
| 30H8 | 穴 | +0.033 / 0 | φ30.000 〜 φ30.033 |
| 30h7 | 軸 | 0 / −0.021 | φ29.979 〜 φ30.000 |
| 30g6 | 軸 | −0.007 / −0.020 | φ29.980 〜 φ29.993 |
| 30k6 | 軸 | +0.015 / +0.002 | φ30.002 〜 φ30.015 |
公差域の位置の字は28個です(A B C CD D E EF F FG G H JS J K M N P R S T U V X Y Z ZA ZB ZC)。I・L・O・Q・W は数字や他の記号と紛れるので規格にありません。JS は基準寸法をはさんで ± に振り分けます(φ30 の JS7 は ±10.5μm)。
はめあいの種類(すきまばめ・中間ばめ・しまりばめ)
穴と軸を組んだときの種類は、すきまの最大と最小で決まります。
- すきまばめ … 最小すきまが 0 以上。穴のほうが必ず大きくなる組み合わせです
- 中間ばめ … 最小すきまが負で、最大すきまが正。すきまになることも、しめしろになることもある組み合わせです
- しまりばめ … 最大すきまが 0 以下。軸のほうが必ず大きくなる組み合わせです
最小すきまが負のときは、その大きさが最大しめしろです。φ30 の H7 の穴に、いろいろな軸を組んだ例です。
| 記号 | 種類 | すきま(mm) | 最大しめしろ(mm) |
|---|---|---|---|
| 30H7/g6 | すきまばめ | +0.007 〜 +0.041 | なし |
| 30H7/h6 | すきまばめ | 0 〜 +0.034 | なし |
| 30H7/js6 | 中間ばめ | −0.006 〜 +0.028 | 0.006 |
| 30H7/k6 | 中間ばめ | −0.015 〜 +0.019 | 0.015 |
| 30H7/p6 | しまりばめ | −0.035 〜 −0.001 | 0.035 |
| 30H7/s6 | しまりばめ | −0.048 〜 −0.014 | 0.048 |
大文字が穴・小文字が軸なので、30H7/g6 は穴 H7 と軸 g6 の組で、すきまばめ(すきま +0.007 〜 +0.041 mm)です。穴と軸を取り違えると答えが裏返ります。
基準寸法の区分は「A を超え B 以下」
表は基準寸法の区分ごとに値を持ち、区分は「18 を超え 30 以下」のように「超え」と「以下」で区切られています。境目の寸法(φ30)は、下の行ではなくその行に入ります。
| 記号 | 区分 | 上 / 下の許容差(mm) |
|---|---|---|
| 30H7 | 18 を超え 30 以下 | +0.021 / 0 |
| 30.1H7 | 30 を超え 50 以下 | +0.025 / 0 |
1行ずれると、公差域の幅が H7 で 19%・g6 で 23% 広く出ます(広い側=通してしまう側へ外れます)。この道具は、引いた区分を数値のすぐ下に必ず書きます。
公差の指示が無い寸法(普通公差・JIS B 0405)
図面に許容差が書いていない寸法にも、許容差があります。表題欄に「JIS B 0405-m」(ISO 2768-m)のように書かれた等級の値が当たります。JIS B 0405 はこれを普通公差と呼び、現場では「自由公差」「一般公差」とも呼ばれます。この道具では「公差の指示が無い寸法」と呼びます。
- 等級: f 精級・m 中級・c 粗級・v 極粗級。図面が決めるので、この道具は既定の等級を置きません
- 表1 長さ寸法。その寸法の大きさで引きます。
- 表2 面取り部分の長さ寸法。面取りの高さ・角の丸みの半径で引きます。
- 表3 角度寸法。角をつくる短い方の辺の長さで引きます。
はめあいだけを細かく引いても、組み上がるかどうかは書いていない寸法のほうが決めていることがあります。φ30 の H7 の公差域の幅は 21μm ですが、m 中級の ±0.2 mm の全幅はその約19倍です。
| 基準寸法 | H7 の公差域の幅 | m 中級 | H7 の何倍か | c 粗級 | H7 の何倍か |
|---|---|---|---|---|---|
| φ10 | 15μm | ±0.2 mm | 約27倍 | ±0.5 mm | 約67倍 |
| φ30 | 21μm | ±0.2 mm | 約19倍 | ±0.5 mm | 約48倍 |
| φ400 | 57μm | ±0.5 mm | 約18倍 | ±1.2 mm | 約42倍 |
倍率は、公差の指示が無い寸法の全幅(± の2倍)を、公差域1つの幅(IT 基本公差)で割ったものです。0.5 mm 未満の寸法は JIS B 0405 が許容差を決めていません(規格は「その寸法のそばに許容差を書く」としています)。
ねじの等級(6g と g6 は別の規格)
6g はねじの公差等級(ISO 965-1 / JIS B 0209-1)、g6 ははめあいの公差域(ISO 286-1 / JIS B 0401-1)です。数字が先ならねじ、英字が先ならはめあいと読みます。M12-6g のように打つと、ねじとして読み、ピッチ・有効径・外径の公差を出します。
| 記号 | ピッチ(mm) | 有効径(mm) | 外径・内径(mm) |
|---|---|---|---|
| M12-6g | 1.75(並目) | −0.034 / −0.184 | 外径 −0.034 / −0.299 |
| M12-6H | 1.75(並目) | +0.200 / 0 | 内径 +0.335 / 0 |
| M12×1.25-6g | 1.25(図面のピッチ) | −0.028 / −0.160 | 外径 −0.028 / −0.240 |
| M12-5g6g | 1.75(並目) | −0.034 / −0.152 | 外径 −0.034 / −0.299 |
等級を2つ書いた記号(5g6g)は、1つ目が有効径、2つ目が外径に効きます。1つだけなら両方に同じ等級が効きます。ピッチを書かなければ並目(ISO 261)として引きます(M12 は 1.75 mm)。並目の無い呼び径(M15・M25 など)は、ピッチを × に続けて打ってください(例 M15×1.5)。M7 のように「ねじの M7」とも「穴 M の IT7」とも読める綴りは、どちらとも決めずにそう言います。
数値の出し方
この道具は、規格の式ではなく表から引きます(式から出すと、公表されている表に合わないセルが出るため)。
- IT 基本公差: IT1〜IT10 は表の値(13区分)。IT11〜IT18 は IT(n−5) × 10 で作ります(IT11 の「3 を超え 6 以下」の 75μm だけは表の値)
- 軸の基礎寸法差: 表の値(25区分)
- 穴の基礎寸法差: 軸から作ります。A〜H は EI = −es、K〜ZC は ES = −ei + Δ
- JS・js は ± IT/2(表を引きません)。J・j は表の値だけ(式がありません)
規格が持つ例外も表のとおりに当てています(M6 の「250 を超え 315 以下」は ES = −9μm・N は IT8 を超えると ES = 0・K8 は k の IT4〜IT7 の列を相手にする)。公表されている限界許容差の表 845セル(穴 421・軸 424)と IT 基本公差の表 234セルを、すべて同じ値で出すことを確かめています。ねじ(ISO 965-1)と公差の指示が無い寸法(JIS B 0405)も表の値です。
引けないとき
- 基準寸法が 500 mm を超えるはめあい(この道具が表を持つのは 500 mm まで)
- 規格に無い組み合わせ: 軸 j は IT5〜IT7、穴 J は IT6〜IT8 だけ。IT14〜IT18 は基準寸法 1 mm 以下には使いません
- ねじ: 並目の無い呼び径(M5.5・M15・M17・M25 など・M68 を超える呼び径)は、ピッチを打つまで公差が出ません
- 公差の指示が無い寸法: 0.5 mm 未満と 4000 mm を超える長さ寸法。f 精級の「2000 を超え 4000 以下」と v 極粗級の「0.5 以上 3 以下」は、規格の表が空けている欄です
よくある質問
6g と g6 は別の規格ですか
別の規格です。6g はねじの等級(ISO 965-1 / JIS B 0209-1)、g6 ははめあいの公差域(ISO 286-1 / JIS B 0401-1)です。数字が先ならねじ、英字が先ならはめあい、と読みます。M7 のようにどちらとも読める綴りは、両方を並べて出します。
区分の境目は、上の行と下の行のどちらですか
その行に入ります。φ30 は「18 を超え 30 以下」の行です。1行ずれると H7 で 19%、g6 で 23% 広く出ます(広い側=通してしまう側へ外れます)。引いた区分は数値のすぐ下に必ず書いてあります。
公差が書いていない寸法は、どこで引きますか
このページの「公差の指示が無い寸法」です。JIS B 0405(ISO 2768-1)の表から引きます。等級(f・m・c・v)は図面の表題欄が決めるものなので、この道具は既定を持ちません。表題欄に ISO 2768-m とあれば m 級です。
幾何公差は入っていますか
この道具は寸法の公差だけです。表題欄に ISO 2768-mK と2つ書いてあるうちの、後ろ(K=幾何公差・JIS B 0419)は入っていません。
表示された値を、そのまま図面や検査に使えますか
表示しているのは、規格の表と定義から引いた値です。図面に書かれた指示・素材・測り方・検査の条件によって、現場で採る値はこれと違うことがあります。最終の判断は図面と社内の規定によります。
iPhone では
iPhone アプリ「かんたんはめあい公差」では、このページの計算に加えて、組立の積み上げ(最悪値法)・図番ごとの保存・PDF の公差検討書が使えます(この3つは Pro・買い切り)。規格の表は端末に入っているので、電波の無い所でも引けます。
App Store で見る出典
- JIS B 0401-1:2016(ISO 286-1 の対応規格)… IT 基本公差・基礎寸法差・はめあい
- JIS B 0405:1991(ISO 2768-1:1989 の対応規格)… 普通公差(公差の指示が無い長さ寸法・角度寸法)
- ISO 965-1:1998(JIS B 0209-1:2001 は一致規格)… メートルねじの公差
- ISO 261:1998 … メートルねじの呼び径とピッチ(並目)
このページには規格票の表を丸ごとは載せていません。数値は記号ごとに表から引き、規格の番号・版・引いた区分を添えて出しています。
- 基準寸法の区分は「A を超え B 以下」で読みます。境目の寸法は下の行ではなく、その行に入ります。
- 公差の指示が無い寸法の等級は、図面の表題欄が決めます。この道具は既定を持ちません。
表示しているのは、規格の表と定義から引いた値です。図面に書かれた指示・素材・測り方・検査の条件によって、現場で採る値はこれと違うことがあります。最終の判断は図面と社内の規定によります。