土地の区分が混ざる流域の流出係数は、面積による加重平均で求めます。
流出係数・降雨強度・面積から合理式でピーク流量
流域の中に土地の区分(屋根・道路・森林など)が混ざるときは、区分ごとの流出係数を面積で重み付けして平均し、1つの流出係数にします。
- fi: 区分 i の流出係数
- Ai: 区分 i の面積
- ΣAi: 面積の合計(集水面積 A)
基準の書き方
- 特定都市河川浸水被害対策法施行規則 第20条第3項: 「行為区域の平均流出係数は、流出雨水量の最大値を算定する際に用いる土地利用形態ごとの流出係数として国土交通大臣が定めるものを、当該行為区域の土地利用形態ごとの面積により加重平均して求めるものとする。」
- 中部地方整備局 砂防施設設計要領: 「地形状況が単一でない場合は面積荷重平均により値を算出して運用する。」
- 岩手県治山事業技術細則 表-1〔注〕: 「大面積に対して、それぞれの占有面積に対する割合を求め、それぞれ表-1の値を乗じて集計し、それを 100 で除して代表的流出係数とする。」
- 高知県の重点地域における許可制度の手引: 「流出係数が混合する流域の流出係数は、各面積の加重平均により算出します。」
- 八千代市雨水流出抑制指針: 「流出係数Cは,工種別面積及び流出係数を加重平均し算定するものとする。」
計算例 八千代市の指針(排水面積 0.22 ha・5区分)
| 区分 | 面積(ha) | f | f × A(ha) |
|---|---|---|---|
| 屋根 | 0.10 | 0.90 | 0.0900 |
| 道路 | 0.05 | 0.85 | 0.0425 |
| 水面 | 0.01 | 1.00 | 0.0100 |
| 間地 | 0.04 | 0.20 | 0.0080 |
| 公園 | 0.02 | 0.15 | 0.0030 |
| 合計 | 0.22 | 0.1535 |
f = 0.1535 ÷ 0.22 ≒ 0.6977 で、指針は 0.69772 ≒ 0.70 としています。降雨強度 50 mm/h で雨水流出量を求めると、丸めない f では Q = 0.0213 m³/s、小数2位の 0.70 では Q = 0.0214 m³/s です。
計算例 高知県の手引(造成区域と現況区域)
行為面積 1.0 ha のうち造成区域 0.80 ha(C = 0.70)、現況区域 0.20 ha(C = 0.40)なら、C = (0.70 × 0.80 + 0.40 × 0.20) ÷ 1.00 = 0.64 です。手引は、造成前の状態を C = 0.40、造成中および造成後の状態を C = 0.70 を標準としています。行為面積 0.1 ha で現況区域が 0.00 ha の例は、C = (0.70 × 0.1 + 0.4 × 0.0) ÷ 0.10 = 0.70 で、面積 0 の区分は値に影響しません。
面積の割合(%)で求める(岩手県の細則の書き方)
岩手県の細則は、占有面積の割合を求めて表-1 の値を掛けて集計し、100 で割ります。割合で掛けても、面積そのもので掛けて面積の合計で割っても、同じ値です。たとえば森林(浸透能普通母材・斜面 0.45)が 60 %、草地(同 0.65)が 40 % なら、(0.45 × 60 + 0.65 × 40) ÷ 100 = 0.53 です。
法面のある道路(告示第521号)
平成16年国土交通省告示第521号は、法面を有する道路・鉄道線路・飛行場の流出係数を、法面(コンクリート等の不浸透性の材料により覆われた法面は 1.00、人工的に造成され植生に覆われた法面は 0.40)と法面以外の土地(0.90)の面積により加重平均して算出される値としています。道路 1,000 m² のうち植生に覆われた法面が 200 m² なら、(0.40 × 200 + 0.90 × 800) ÷ 1,000 = 0.80 です。
小数の丸め
高知県の手引は、流出係数を「少数2位(3位四捨五入)」としています。八千代市の指針の計算例も、0.69772 を 0.70 にしてから使っています。このアプリの加重平均の画面は、丸めずに Q を計算します。「詳しい設定」の「加重平均の f を小数2位に丸める」をオンにすると、小数第3位を四捨五入した f で Q を計算します。
開発前と開発後の流出係数
特定都市河川浸水被害対策法施行規則 第20条第1項は、対策工事の計画を、雨水浸透阻害行為が行われた後の流出雨水量の最大値が、行われる前の流出雨水量の最大値を上回らないよう定めるとしています。行われる前の最大値は、行為区域の土地利用形態ごとの面積から求めた平均流出係数で合理式により求め(同条第2項第1号・第3項)、行われた後の最大値は、雨水貯留浸透施設に流入した雨水から浸透する量を除き、施設から流出する雨水の量を逐次計算する方法その他合理的な方法により求めます(同項第2号)。
高知県の手引の計算例も、造成前の状態(C = 0.40)と、造成中および造成後の状態(C = 0.70)を分けています。八千代市の指針は、加重平均の流出係数 0.70 が排水区に設定された流出係数 0.50 を超える分(0.20)で雨水量を求め、調整量を算定しています。
出典
- 特定都市河川浸水被害対策法施行規則(平成16年国土交通省令第64号)第20条(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省 中部地方整備局「砂防施設設計要領」(令和2年3月)第5編 第2章 掃流区域における計画対象流量(式 2.1.1・表 2-2-1・洪水到達時間・平均雨量強度)
- 岩手県農林水産部森林保全課「岩手県治山事業技術細則(総則・渓間工編)」(令和5年9月改定)7-5 洪水流出量の計算(式 7.5.1・表-1・表-2)・3-7-4・計算例-1
- 高知県 林業振興・環境部 自然共生課「重点地域における許可制度の手引(令和3年4月改訂)」第9章 設計計算例(沈砂池・排水施設)
- 八千代市「八千代市雨水流出抑制指針(公共下水道編)」計算方法 (1) 流出係数Cの算定・(2) 雨水量の算定・(6) オリフィスの吐口断面積の算定
- 流出雨水量の最大値を算定する際に用いる土地利用形態ごとの流出係数を定める告示(平成16年国土交通省告示第521号)
流出係数・降雨強度・面積から合理式でピーク流量