流出係数の値は、計算の目的と協議先の基準の表から選びます。
流出係数・降雨強度・面積から合理式でピーク流量
流出係数の値は、計算の目的と協議先の基準の表で決まります。同じ「宅地」や「森林」でも、表によって値が違います。たとえば、特定都市河川浸水被害対策法の流出雨水量は告示第521号の値、中部地方整備局の砂防施設設計要領は河川の流出係数の表、岩手県の治山は細則の表-1・表-2、八千代市の下水道は指針の工種別の値を使います。
国土交通省告示第521号(特定都市河川浸水被害対策法)
特定都市河川浸水被害対策法施行規則 第20条第3項の、土地利用形態ごとの流出係数です(平成16年国土交通省告示第521号 別表1〜4)。告示は、この値により難いときは、雨水の流出試験(現場試験)により得られた値を用いることができるとしています。
| 土地利用の形態 | 流出係数 |
|---|---|
| 宅地 | 0.90 |
| 池沼・水路・ため池 | 1.00 |
| 道路(法面を有しないものに限る。) | 0.90 |
| 鉄道線路(法面を有しないものに限る。) | 0.90 |
| 飛行場(法面を有しないものに限る。) | 0.90 |
| コンクリート等の不浸透性の材料により覆われた土地(法面を除く) | 0.95 |
| コンクリート等の不浸透性の材料により覆われた法面 | 1.00 |
| ゴルフ場(雨水を排除するための排水施設を伴うものに限る。) | 0.50 |
| 運動場その他これに類する施設(雨水を排除するための排水施設を伴うものに限る。) | 0.80 |
| ローラーその他これに類する建設機械を用いて締め固められた土地 | 0.50 |
| 山地 | 0.30 |
| 人工的に造成され植生に覆われた法面 | 0.40 |
| 林地、耕地、原野その他ローラーその他これに類する建設機械を用いて締め固められていない土地 | 0.20 |
法面を有する道路・鉄道線路・飛行場は、法面(コンクリート等の不浸透性の材料により覆われた法面は 1.00、人工的に造成され植生に覆われた法面は 0.40)と法面以外の土地(0.90)の面積により加重平均して算出される値です(「流出係数の計算方法」に計算例)。
河川の流出係数(中部地方整備局 砂防施設設計要領 表 2-2-1)
要領は、ピーク流出係数を、流域の地被、植生、形状、開発状況などを勘案して決定し、一般には次の標準値とするが、流域状況(荒廃など)により適切な値を用いるとしています。急峻な山地で 0.9 を用いるのは、荒廃が進行し、岩盤露出、裸地の割合が多い場合等に限るとしています。
| 区分 | 範囲 | 標準値 |
|---|---|---|
| 急峻な山地 | 0.75~0.90 | 0.85 |
| 三紀層山岳 | 0.70~0.80 | 0.75 |
| 起伏のある土地及び樹林 | 0.50~0.75 | 0.65 |
| 平坦な耕地 | 0.45~0.60 | 0.55 |
| かんがい中の水田 | 0.70~0.80 | 0.75 |
| 山地河川 | 0.75~0.85 | 0.80 |
| 平地小河川 | 0.45~0.75 | 0.60 |
| 流域の半ば以上が平地である河川 | 0.50~0.75 | 0.65 |
治山の流出係数(岩手県治山事業技術細則 表-1・表-2)
表-1(自然状態での流出係数 f1)は、地被と母材の浸透能、地形の3つで選びます。浸透能不良母材は、流域全体から判断して基岩が表れているものや粘性土で浸透能が不良と思われるもの、浸透能良好母材は、砂質土や火山堆積物で粗しょうなものなど空隙の多い土壌のもの、浸透能普通母材はそれ以外の一般的なものです。地形は、山腹傾斜(集水区域内の平均的な傾斜)が 30°以上で急峻、15°以上30°未満で斜面、15°未満で平地です。
| 地被 | 母材の浸透能 | 急峻 | 斜面 | 平地 |
|---|---|---|---|---|
| 森林 | 不良 | 0.65 | 0.55 | 0.45 |
| 森林 | 普通 | 0.55 | 0.45 | 0.35 |
| 森林 | 良好 | 0.45 | 0.35 | 0.25 |
| 疎林耕地 | 不良 | 0.75 | 0.65 | 0.55 |
| 疎林耕地 | 普通 | 0.65 | 0.55 | 0.45 |
| 疎林耕地 | 良好 | 0.55 | 0.45 | 0.35 |
| 草地 | 不良 | 0.85 | 0.75 | 0.65 |
| 草地 | 普通 | 0.75 | 0.65 | 0.55 |
| 草地 | 良好 | 0.65 | 0.55 | 0.45 |
| 不毛岩石地 | 不良 | 0.90 | 0.80 | 0.70 |
| 不毛岩石地 | 普通 | 0.80 | 0.70 | 0.60 |
| 不毛岩石地 | 良好 | 0.70 | 0.60 | 0.50 |
表-2(開発地域の流出係数 f2)は、都市地区 0.90~0.95、住宅地区 0.70~0.80、舗装道路 0.85~0.98、砂利道路 0.60~0.75、庭園芝生 0.45~0.55、樹林 0.35~0.40、運動場公園 0.55~0.65 です。
下水道の工種別の流出係数(八千代市の指針)
八千代市雨水流出抑制指針の計算例の工種別の値は、屋根 0.90、道路 0.85、浸透性舗装 0.70、全浸透インターロッキング 0.40、透水コンクリート 0.40、その他の不透面 0.80、水面 1.00、間地 0.20、公園(緑地)0.15 です。指針は、排水区ごとの流出係数(八千代 0.45、鳥ヶ谷・須久茂・花輪 0.50 など)も決めていて、加重平均の流出係数がそれを超える分について、雨水の流出抑制を求めています。
表の値の選び方
- 計算の目的(特定都市河川の許可・治山・砂防・下水道・開発)と、協議先の基準の表を使います。
- 範囲で書かれている値(0.75~0.90 など)は、流域の状況で選びます。中部地方整備局の要領は、一般には標準値とするとしています。
- 区分が混ざるときは、区分ごとの値を面積で加重平均します(加重平均の画面)。
出典
- 流出雨水量の最大値を算定する際に用いる土地利用形態ごとの流出係数を定める告示(平成16年国土交通省告示第521号)
- 特定都市河川浸水被害対策法施行規則(平成16年国土交通省令第64号)第20条(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省 中部地方整備局「砂防施設設計要領」(令和2年3月)第5編 第2章 掃流区域における計画対象流量(式 2.1.1・表 2-2-1・洪水到達時間・平均雨量強度)
- 岩手県農林水産部森林保全課「岩手県治山事業技術細則(総則・渓間工編)」(令和5年9月改定)7-5 洪水流出量の計算(式 7.5.1・表-1・表-2)・3-7-4・計算例-1
- 八千代市「八千代市雨水流出抑制指針(公共下水道編)」計算方法 (1) 流出係数Cの算定・(2) 雨水量の算定・(6) オリフィスの吐口断面積の算定
流出係数・降雨強度・面積から合理式でピーク流量