現場マスター

電線管のサイズ選定と曲げ寸法

電線管は、建物の中で電線やケーブルを通して守るための管です。このページでは、電線管(ねじなし電線管 E・薄鋼電線管 C・厚鋼電線管 G)の内径と、ケーブルの仕上がり外径から、占積率(占有率とも呼ばれます)の決まりで何本入るかと、一番細い管を出します。90°ノーマルの曲げは、管端からの曲げ位置と、切る長さ(切断寸法)を出します。早見表は使わず、管の寸法から毎回計算します。

電線管のサイズ選定(占積率)

E39 内径 35.3 mm 内断面 978.7 mm²

占積率の規則
内線規程の原則

ケーブルの外径は、ケーブルに印字してある仕上がり外径が正です。一覧に無い電線は「外径を直接入れる」で、38sq でも 100sq でも計算できます。

占積率(占有率)とは — 32%・48%・40%

占積率は、電線管の内断面積に対する、中に入れる電線の断面積(被覆を含む)の合計の割合です。現場では「占有率」とも呼ばれます。どの割合まで入れてよいかは規則で決まっていて、この計算では内線規程の規則の名前で3つから選びます。

32% と 48% では、使える断面が1.5倍違います。どの規則で出した本数かを、必ず一緒に書いてください(答えの下に出します)。

管の内断面積 = π ×(内径 ÷ 2)² 電線1本の断面積 = π ×(仕上がり外径 ÷ 2)² 入る本数 = 管の内断面積 × 占積率 ÷ 電線1本の断面積 (切り捨て) N 本入れたときの占積率 = 電線1本の断面積 × N ÷ 管の内断面積 × 100

例: 厚鋼電線管 G36(内径 36.9 mm・内断面 1,069.4 mm²)に CV ケーブル(4心)を入れる場合、占積率 32% で次の本数です。早見表を写したものではなく、上の式で出した数です。

ケーブル仕上がり外径入る本数(32%)切り捨てる前
CV-4C 2sq12.0 mm3 本3.03 本ぶん
CV-4C 3.5sq13.5 mm2 本2.39 本ぶん
CV-4C 5.5sq16.0 mm1 本1.70 本ぶん
CV-4C 8sq17.0 mm1 本1.51 本ぶん
CV-4C 14sq19.0 mm1 本1.21 本ぶん
CV-4C 22sq23.0 mm0 本0.82 本ぶん

表に無い太さでも、外径から答えが出ます。外径 26.1 mm のケーブルは、G36 に 0 本(0.64 本ぶん)です。0 本のときも、何本ぶんかを出します(「入らない」と「計算できない」を分けるため)。

電線管のサイズ選定は、入れる電線と本数から、収まる一番細い管を探すことです。CV-4C 5.5sq を 3 本入れるなら、占積率 32% で、ねじなし電線管なら E63(占積率 21.1%)、薄鋼電線管なら C63(占積率 21.7%)、厚鋼電線管なら G54(占積率 26.3%)です。上の計算では、本数を入れると、選んだ種類の中で一番細い管を出します。

90°ノーマルの曲げ寸法

E19 外径 19.1 / 内径 16.7 mm

芯半径 124.2 mm・標準(未校正)

✓ 内側半径 114.6 ≧ 管内径×6 = 100.2 mm

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)2.2.3(5)

どこで測るか
90°は、床から管の背まで測るのが現場の既定です
マークの流儀
ここにスケールを当てて曲げ始める位置(既定)

任意角・オフセット・3点サドル・4点サドル・平行配管は iPhone アプリの Pro です(下の「iPhone では」)。

曲げ寸法の出し方(90°ノーマル)

90°ノーマルは、管を1か所で直角に曲げる曲げ方です。立ち上がり(床から管の背までなど)と走り(曲げたあとの長さ)を入れると、管端から何 mm の所で曲げ始めるかと、管を何 mm で切ればよいか(切断寸法)が出ます。曲げた部分は角ではなく弧になるので、管は「立ち上がり + 走り」より短くて足ります。その差が差し引きです。

芯半径 R = 外径 × 6.5 (標準・未校正) 曲げ始め = 立ち上がり − R − 外径 ÷ 2 (背で測るとき) 弧の長さ = R × π ÷ 2 切断寸法 = 曲げ始め + 弧の長さ +(走り − R − 外径 ÷ 2) 差し引き = 立ち上がり + 走り − 切断寸法 = 2R + 外径 − R × π ÷ 2

例: E19(外径 19.1 mm・芯半径 124.2 mm)で、立ち上がり 300 mm・走り 500 mm を背で測ると、曲げ始めは管端から 166.3 mm、切断寸法は 727.6 mm、差し引きは 72.4 mm です。発注する材料は切り上げて 728.0 mm(足りなくなる側に丸めない)。

1
上の例の図(実寸の比率)。① が曲げ始めのマーク。

背で測るとき、立ち上がりと走りは、それぞれ「芯半径 + 外径 ÷ 2」(取り代)より短いと作れません。E19 なら 133.7 mm です。これより短い寸法を入れると、数字を出さずに「この寸法では作れません」と出します。

背・芯・内(どこで測るか)

立ち上がりを管のどこで測るかで、同じ数字でも意味が変わります。90°は、床から管の背まで測るのが現場の既定です。上の例を芯で測ると切断寸法は 746.7 mm、内で測ると 765.8 mm になります。マークは直管に付けるので、背・芯・内のどれで測っても同じ所に付けます。

マークの流儀

マークを曲がりのどこに付けるかにも流儀があります。上の例で、管端からの位置は次のとおりです。

答えの下の「差し引き」は、立ち上がり + 走り − 切断寸法 です。「材料」は、切断寸法を 1 mm 単位で切り上げた長さです。

電線管の曲げ半径(内側半径 ≧ 管内径 × 6)

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、金属管の曲げ半径(内側半径)は管内径の6倍以上、曲げ角度は90度以下としています。管の太さが25mm以下で施工上やむを得ない場合は、管の断面が著しく変形せず、ひび割れが生じない程度まで小さくできます(2.2.3)。合成樹脂管(PF管・CD管・硬質ビニル管)も内側半径は管内径の6倍以上です(例外は22mm以下・2.3.3/2.4.3)。

この計算は、内側半径(芯半径 − 外径 ÷ 2)が管内径 × 6 以上かを照らします。例: E19 の標準の芯半径 124.2 mm では、内側半径 114.6 ≧ 管内径×6 = 100.2 mm です。可否を断定はしません。下回るときは注意を出します。

「曲げ半径は外径の6倍」という覚え方は、どこの半径かを言っていません。同じ 114.6 mm を芯の半径と読むか内側の半径と読むかで、90°の弧の長さは 180.0 mm と 195.0 mm に分かれ、15.0 mm 違います。この計算は芯半径だけを持ち、内側の半径は毎回そこから出します。標準の芯半径(外径 × 6.5)は、外径の6倍を「内側の半径」と読んだときの芯の半径です。

同じ仕様書では、分岐回路の配管1区間の屈曲箇所は4か所以下、曲げ角度の合計は270度以下としています(2.2.3・2.3.3・2.4.3)。

電線管のサイズ(呼び径・外径・内径)

電線管のサイズは「呼び径」で呼びます(E19・C25・G22 など)。呼び径は外径でも内径でもない呼び方で、厚鋼電線管は内径に近い偶数、薄鋼電線管とねじなし電線管は外径に近い奇数です。同じ「19」でも、ねじなし E19 と薄鋼 C19 は外径が同じで肉厚が違うので、内径が違います。

呼び種類呼び径外径肉厚内径
E19ねじなし電線管1919.1 mm1.2 mm16.7 mm
C19薄鋼電線管1919.1 mm1.6 mm15.9 mm
G16厚鋼電線管1621.0 mm2.3 mm16.4 mm
G22厚鋼電線管2226.5 mm2.3 mm21.9 mm
G36厚鋼電線管3641.9 mm2.5 mm36.9 mm

例の5本だけです(JIS C 8305 の鋼製電線管)。内径は 外径 − 2 × 肉厚 で出しています。ほかの呼び径の寸法は、上の計算で管を選ぶと出ます。

電線管の種類

この計算は、鋼製電線管(E・C・G)の寸法で計算します。PF管・CD管・VE管・金属製可とう電線管の寸法は持っていません。

電線管の支持間隔

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版(国土交通省)では、管をサドルやハンガなどで支持する間隔を次のように決めています。

電気設備の技術基準の解釈 第158条(合成樹脂管工事)も、管の支持点間の距離を 1.5m 以下とし、支持点を管端・管とボックスとの接続点・管相互の接続点のそれぞれの近くに設けるとしています。地震に備える耐震支持は別の決まりです(同じ仕様書の 2.1.13)。官庁施設以外の工事では、その工事の仕様書と内線規程を確かめてください。

前提と、含まないもの

出典